「一度もキャンパス行ってない」…コロナ禍の大学生 実は授業に不満多い? これからの“新しい授業様式”は
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 19日に発表されたある調査結果が、大学新入生の苦境を浮き彫りにし話題となった。

 立命館大学新聞社は、学生たちを対象に「秋学期以降の休学・退学を考えているか」とアンケートを実施。「休学を考えている」が25.6%、「退学を考えている」が9.8%で、3人に1人が休学か退学を考えているという結果になった。学年別では、1回生の退学検討者が他と比べやや多く、新入生ほど対面での授業を求める傾向にあるという。

【映像】立命大生記者に聞く学生のホンネ

 コロナ禍のキャンパスライフの在り方、オンライン授業のメリット・デメリットとは。21日の『ABEMA Prime』は、実際に調査した立命館大学の学生も交え考えた。

■退学・休学を考える理由、一番は「オンライン授業の質」

 学生の声としては、「入学式もなく一度もキャンパスへ行ったことなく、それで『女子学生』と言われても」「バイトが激減。お金がなく、旅行もできず、友達とも会えず、孤独のまま夏休みに」「通信大学の10倍以上学費払っているのに、通信じゃなくて良かったと思える点が1つもない」といったものがある。

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 キャンパスライフがおくれないという声に対して、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「コロナウイルスなのだから仕方がない。『慶應はキャンパスが開いているから行きたい』というならわかるが、立命館を辞めてどこに行ってもキャンパスライフはないので、卒業するしかないと思う。例えばいま退学して、コロナウイルスが3年経って収まって、それから大学1年で入りたいということなのか。22、23歳くらいで大学1年生になって、大学4年生時には26歳というのはすごく無駄な気がする」と持論を述べる。

 では実際の学生生活はどのような現状なのか。アンケートを実施した立命館大学新聞社記者の堀ノ内彩さんは、サークル活動について「新聞社の話になってしまうが、新入生は入ってきてくれたけど対面ではまだ一度も会えていない状態。1年生が(活動を)どれだけ理解しているかも、対面でやっている時よりは把握できないのかなと感じている」と話した。

 AV女優の紗倉まなは「バイトもなかなかしづらかったり、大学の施設も利用できないけど学費は引き落とされたりということで、経済的に苦しくて退学や休学を選ぶ方も結構いるのか」と金銭面に触れる。

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 堀ノ内さんは「私もそう思っていたが、アンケートで退学と休学の理由を書いてもらったものを(語と語のつながりを視覚化する)共起ネットワークで分析すると、経済的な理由は5位くらいで、最も多かったのが『オンラインの質が悪い』という話だった。経済的な理由は思っているよりも少ないということが今回のデータからは言えると思う」と意外な結果だったことを明かした。

 オンライン授業の満足度について、慶應大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は「オンデマンドなのかそうでないかで差が出ていると思う」と指摘。「リアルタイムの授業をオンラインでこなすことができる先生がいれば満足度は高いと思う。ところが、『その場で変なことを言われたらどうしよう』『ちゃんと聞いていてくれるのか』『画面を切っている学生がいるのが嫌』とリアルタイムのやり取りに抵抗があったり苦手だという先生は多いらしい。オンデマンドでいいクオリティーを出せればいいが、手を抜いたり『これぐらいでいいのではないか』となったりする。ここの質が下がって不満だという人と、とはいえ対面で頑張ってやろうとしたが下手くそな人もいる。ここで見応えがあるオンデマンドを作れる先生、もしくはリアルタイムでやり取りできる工夫ができる先生の授業は満足度が上がっていると思うが、先生もオンラインで授業をすることを前提に教員になっていないので、“そこを求められても”というギャップがあると思う」との見方を示す。

 一方、日本若者協議会代表理事で慶應大学政策・メディア研究科修士2年の室橋祐貴氏は、自身の周りの声として「自分はSFC(湘南藤沢キャンパス)にいるが、授業の満足度は非常に高くて、7割が今後もオンライン授業の続行を望んでいる。基本的にオンデマンドではなくリアルタイムの授業をやっていて、その中でZoomを使って少数のグループに分かれて議論なども行っている。そういう意味では、不満な声は聞こえてこない」と説明。

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 実際に室橋氏の周りで大学を辞めた人はいないそうで、「休学は1人いるが、それは自分で会社もやっていて、落ち着いたら戻って来ようと。退学に関していうと、立命館新聞社の調査で退学を本格的に検討しているのは2.3%で、2018年の立命館の退学者が1.7%だったのと比べるとあまり大差がない。意外と退学者は増えていない、退学を検討している人は増えていないというのが、調査を見た印象」だとした。

 ひろゆき氏は「オンデマンドの方が好きな時間に受けられて楽な気がするが、リアルタイムの方が皆好きなのか」と授業形式の差について尋ねる。

 若新氏は「今まで教室という形で授業をしていた時に、学生が『手を挙げて喋るまでは恥ずかしい』と諦めていた先生とのコミュニケーションを、オンラインがうまく引き出せたところはあると思う。ツールをうまく使ったことによって『これならガンガン質問できるし、喋れるし、面白い』というふうに持っていけた大学もあったのかなと。ただ、今の感触だと大学ごとの成功事例がまだ共有されていない。大学はまだ自分の学校の授業・運用が精いっぱいで、あと半年、1年経つと、それぞれのキャンパスの成功事例がシェアされ始めると思うが、この夏は一番差が広がっていると思う」との見解を示した。

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 若新氏はオンライン授業の際、部屋を数回分けて学生に参加してもらっているという。「(学生も)ずっと話を聞いていると退屈。僕らの話を聞いている時は、画面を切ったり飯を食べたり何をしていてもいいが、何分かに1回はチーム分けする。チーム分けして部屋を作るというのもそんなに難しい手続きではないと思うが、そういうものはアシスタントがサクサクやってくれる。レポートの提出などもYouTubeに動画をアップしてもらって、それを皆で見てコメントするとか、とことんネットの使いやすいところを使って振り切ってやっている。紙のレポートが全員分アップされていても見るのは嫌だと思う。でも動画を“1分以内”と限定して上げてもらうと、みんな慣れているのでサクサクURLを押して『あの発表どうだったのかな』と見るようになる。それはうちのキャンパスが“こうなったらとことんオンラインで、面白い方にどれだけできるか”という雰囲気があったので、うまくいった部分もあると思う」。

■オンライン授業は収束後も継続すべき? これからの“新しい授業様式”は

 オンライン時代では、ポジティブな側面もある。友達探しとして「#春から◯◯大学」のハッシュタグで繋がることができたり、新歓などはZoom飲みで代用可能だ。学園祭もオンライン化し、「早稲田祭2020」「第62回三田祭」はオンライン開催が予定されている。さらには、地方から都市圏の大学に「通う」ことが可能になる。

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 オンライン授業の今後について室橋氏は、「感染リスクが大学は非常に大きい。人数も多いし人の移動も90分の授業ごとにどんどん入れ替わっていくので、みんな集まってしまうと感染リスクを抑えるのがどうしても難しいという現状がある。実際にアメリカの大学は今月から秋学期が始まっているが、大規模授業をやって1週間、2週間で100人くらい感染者が急増してしまい、その後またオンライン授業に戻ったということがある。そういう現状を踏まえると、オンライン授業を全くなくして全面的に対面授業に移行するのは非現実的かなと思う」との見方を示す。

 また、若新氏も新しい“ハイブリッド”の形に可能性があるとし、「大講義室の授業は永遠にオンラインでいいのではないか。大講義室は部屋が限られているので、昼飯後の眠い時間も授業で使われている。キャパに限界があって大講義室に制限されていたものを、午前中を全部配信にすればソーシャルディスタンス的な感じで広くキャンパスを使える。聞いているだけの授業はオンラインにして、午後から大学が始まれば通勤通学で満員(電車)にもあわないし、夜の時間帯は飲み会もできるだろう。(コロナが収束したら)元に戻すという話になってしまうのはもったいない。“午前中は全部オンラインで授業をして、午後から大学にいきましょう”というふうに、いろいろ考える余地はあると思う」と述べた。

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 一方で、オンライン授業を継続できるかについては、「大学はいろいろ自治権があったり、キャンパスごとに変えたりすることはできると思う。ただ、学生が“お客さん”で声を無視してはいけないという話になった時、『元に戻せ』という声があがると圧力に負けると思う。学生と一緒に『こう変えませんか?』という流れにもっていけば、いろいろと変われるチャンスな気はする。『元に戻したい』『今がひどい』という声に大人や政治家、いろいろな団体もくっつきやすいので、そういう流れが起きないといいと思う」との懸念を示した。

 オンライン授業では「実験や実習ができない」といった声もあがっている。室橋氏は「医療実習などもほとんど受けられていない状況なので、この状況だと正直、リアルの実習をやるのはなかなか難しい。オンラインで何かしら対策するか、休学をなるべくしやすくするかのどちらかしかないと思う」と述べた。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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