「私たちは体の一部を失い、女性としてのアイデンティティを失いました。私たちはもう二度と子どもを授かることはできません。彼らは私たちの卵管を切断しました」
新彊ウイグル自治区に住んでいたズムラト・ダウートさんは2018年、決められた数より1人多く子どもが3人いるとして罰金を科されたうえで、不妊手術を強制されたという。
こうしたウイグルでの不妊手術の強制について、ドイツ人研究者のエイドリアン・ゼンツ氏が今年6月に報告書を発表。報告書によると、2014年に3214件だったウイグル自治区での不妊手術件数が、2018年には6万件以上と急増しているという。
ゼンツ氏はウイグルにある拘置所の中で、注射や錠剤の使用によって生理を止められたとする複数の女性の証言も取り上げ、ウイグル族に対する厳しい人口のコントロールが行われている可能性を指摘。国連が「ジェノサイド」の定義とする5つの行為の1つに「出生の抑制」を挙げていることに触れ、これらの証拠はジェノサイドを裏付ける最も確かなものだとの認識を示している。
ウイグル族をめぐる弾圧問題が世界から注目される中での“強制不妊リポート”に対し、真っ向から反論しているのが中国政府だ。今月3日、中国政府系シンクタンク・中国社会科学院傘下の研究機関が、新疆ウイグル自治区の女性たちは自ら望んで不妊手術を受けていると主張する文書を発表。
文書では、新疆ウイグル自治区では法律に基づき宣伝を強化し、優良なサービスを提供するやり方で「計画生育政策」を実行、成果を上げたとしている。不妊手術に関しては国際的に安全性が認められたもので、自主的に無料で受けられるものであると主張している。
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