将棋の竜王戦挑戦者決定三番勝負の最終局となる第3局が9月19日に行われ、羽生善治九段(49)が丸山忠久九段(50)に勝利、豊島将之竜王(30)への挑戦権を獲得した。羽生九段がタイトル戦に出場するのは、2018年度の竜王戦七番勝負以来。あと1勝まで迫りながら達成できなかった大記録、タイトル通算100期の達成に向けて、2年ぶりに大舞台に立つ。
将棋界のレジェンドが、久しぶりに大舞台に帰ってくる。同学年の強敵・丸山九段と、フルセットの激闘を制した羽生九段が、前人未到の大記録を達成する大きなチャンスを自らもぎ取った。丸山九段得意の一手損角換わりで始まった対局は、中盤に入ったあたりから羽生九段のペースで進行。終盤にかけては着実にリードを広げる堅実な指し回しに終始し、持ち時間でも余裕を持ちながら最後まで勝利に向かって指し切った。対局後には「序盤から見通しの立たない将棋で、形勢判断がつきかねる感じで進んでいたと思います」と振り返ると、挑戦権獲得には「そういう舞台で指せるというのは、非常にありがたいことだと思っているので、気力を充実させて開幕を迎えたいと思います」と述べた。また、豊島竜王との対戦には「まだ終わったばかりなので、まだ何も考えていないです。しっかりといろいろなコンディションを整えたいです」と語った。
タイトル通算99期で迎えた2年前の竜王戦七番勝負は防衛戦だったが、広瀬章人八段(33)相手に、フルセットの末、あと1勝をつかめず失冠。大記録達成寸前から一転して、27年ぶりに無冠となっていた。その後も、挑戦者決定戦まで進むものの、タイトル戦出場には届いていなかった。
羽生九段と竜王といえば、縁は深い。初のタイトルが竜王なら、永世七冠を達成したのも竜王。棋士人生の大きな節目を飾るタイトルになっている。羽生九段が無冠となった間に、タイトルホルダーの顔触れも変わり、最年長が渡辺明名人(棋王、王将、36)。最年少は藤井聡太二冠(18)で、40代以上は1人もいなくなっている。長きに渡り将棋界を牽引してきた伝説級の棋士が、叶えられなかった大きな記録を達成するため、大注目の七番勝負へと向かう。
(ABEMA/将棋チャンネルより)