自宅前に押しかける取材スタイルは“時代遅れ”…著名人の自殺を報じるマスコミの姿に苦言
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 著名人の自殺とみられる訃報に関する報道について、加藤官房長官が先月28日の記者会見で「一般論として、著名人の方の自殺またはその可能性についての報道は大きな影響がある。場合によっては新たな自殺を誘引する可能性もある」と指摘。「目立つような報道、繰り返しの報道、自殺の手段など詳細な報道はしない、また相談窓口を併せて報道すること」と、WHOのガイドラインを遵守するよう、報道機関に呼びかけた。

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 7日の『ABEMA Prime』に出演した慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「実は竹内結子さんのご自宅は、うちのすぐ近くだった。テレビカメラの数がすごかった。なぜ自宅マンションを映すのか。意味はあるのか」と疑問を呈する。

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 全国自死遺族連絡会の田中幸子代表理事は「以前は“自殺”という言葉の連呼や、場所や手段まで報道していたと思う。満足はしていないが、最近では報道に配慮が見られるようになった。また、“自殺”ではなく“自死”という表現を使っているところも増えてきて、大変ありがたいと思っている」と話す。

 その一方、「本人の最近の事情はともかく、両親のことや、生い立ちなど過去のことまで遡って報道しているのを見ると、それは必要ないんじゃないかなと私は思う。そこは亡くなった人の尊厳を守っていただきたいし、遺族の心情に配慮していただくという点で欠けているなと思う」と指摘。「お部屋で亡くなった場合、その不動産物件は“事故物件”として扱われ、賃借契約の解消や売却において賠償金が請求されるケースが多い。映像ではぼかしをいれたとしてもある程度は特定できてしまうので、放送された映像を元に見に来る人たちもいる。最近では事故物件サイトで特定されることもあるが、住んでいる遺族にとっても、周りに住んでいる人たちにとっても耐えられない状況だ」と訴えた。

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 こうした疑問に対し、テレビ朝日平石直之アナウンサーは「なぜ亡くなったのか、ということで視聴者の関心がものすごく高くなるのは間違いないし、そこでメディア間の競争が出てくる。1分でも長くやるとその分見てもらえるという理屈から、横並びで放送時間も延びていく」と話す。

 「自宅前で遺族がお話をしたいという時に撮り逃してしまえば、“なぜうちの社だけ映像が無いんだ”となる。つまり“自分たちだけが撮りたい”というよりは、“自分たちだけが落とす訳にはいかない”という、“特落ち”への恐れによるものだ。本来、そういう取材は一本化できるなら一本化した方がいい。しかしそれができないとなると、みんなで家の前で待つ。これが延々続いてきたということだと思う。だから1社がいると全社いなきゃいけない、帰れない。しかし、それは決して正当化されるものではないし、もはや求められてもいない状況だと思う」。

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 作家の乙武洋匡氏は「喋りたい遺族もいるかもしれないが、それはどこかのタイミングでご自身が意思表示をするのではないか。たとえば木村花さんのお母さんの木村響子さんも、亡くなられた直後は口を閉ざされていたが、時間が経って気持ちの整理が付き、言いたいことがまとまってきてからは、メディアに出てお話をされるようになった。メディアというのは、そこまでしっかりと待つ、という姿勢が大事なんじゃないか」と指摘。

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 ノンフィクションライターの石戸諭氏は「僕には自死をした親族がいるが、“なぜ亡くなったのか”ということについては、究極的には誰にも分からないし、ましてや本人ですら分からないかもしれない。それなのに延々と憶測を基に報道し、自宅の前に張り込むのというのは、全く意味がないことだし、時代遅れだ。これが犯罪被害者や災害の犠牲者、病気などであれば、思いを伝えたい人たちが出てくるのも分かる。それでも24時間以内に、あるいは48時間以内といったタイミングで自宅の前に行ったからといって、何も分からない。もっと待つということを考えるべきだ。なぜ亡くなったのか、そこに至る過程や生い立ちを本当に報じたいのなら、薄っぺらな報じ方ではなく、信頼関係を築いた上での丹念な取材を徹底をしなければならない」とコメントしていた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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