将棋の王座戦五番勝負第5局が10月14日に行われ、永瀬拓矢王座(28)が久保利明九段(45)に勝利、シリーズ成績3勝2敗でタイトル初防衛を果たした。また、通算タイトル3期に達したことで、規定により九段昇段を果たした。永瀬王座は七段時代に叡王、王座を獲得し、タイトル2期で八段に昇段。タイトルを保持し続けたことで八段を名乗ることなく、最高段位に到達した。
妥協なき研究を続けてきた永瀬王座が、また一つ階段を登った。振り飛車党で“捌き・粘りのアーティスト”と呼ばれる久保九段に、第4局では悔しい逆転負けを喫していたが、決定局となった本局では同じ失敗を繰り返さなかった。
永瀬王座・居飛車、久保九段・中飛車の対抗形で始まった将棋は、早々に大駒の交換が続く急展開に。それでも序盤、中盤と着実にリードを広げると、終盤でも正確な寄せに終始。“負けない将棋”を貫き、受けて立つ側の方が難しいタイトル戦において、ベテラン実力者相手に見事防衛を果たした。
現在、タイトルホルダーは4人。渡辺明名人(棋王、王将、36)、豊島将之竜王(叡王、30)、藤井聡太二冠(王位、棋聖、18)、そして永瀬王座。今後も、この4人を中心に激しい争いが続いていきそうだ。
対局後、永瀬王座は「対抗形のシリーズでしたが、作戦としてなかなかうまく行かないことが多かった気がします」と苦戦を振り返ると、叡王戦・王座戦と2つのタイトル戦を並行して戦うハードスケジュールだったことには「両方ともフルセットで大変だったんですが、1つ結果が出てよかったです」とホッとした表情だった。
(ABEMA/将棋チャンネルより)