「ZOZO」創業者で実業家の前澤友作氏が行っている「お金配り」。毎日抽選で10人に10万円ずつ配る「Twitterでお金を配る人」として認知される中、この手法について賛否の声があがり、さらには本人も批判について投稿する事態が起きている。
前澤氏のアカウントをフォローし、投稿をリツイートすれば抽選で現金がもらえるということで、今やそのアカウントはフォロワー数が1000万人を超え日本一になっている。一方で「お金配り」については、「前澤さんRTしてる奴は信用しない」「金配りツイートをRTしてる人は即ブロック安定」といった声も相次いでいる。これに前澤氏は10月18日の投稿で「僕のことをフォローやRTしてくれてる人たちのことを『前澤をRTする奴ら』みたいに一括りにして、どこ目線か分からないけど、感じ悪いコメントする人をたまに見かけるけど、それやめない?」「1000万人いたら1000万通りの人生や事情があり、一人一人に寄り添った想像が出来たらいいなと思う」と反論した。
困っている人たちを助け、世の中を良くするための活動としてお金を配り続ける前澤氏だが、その活動をめぐってはフォロワーが利用されているとの指摘もある。裏社会を取材する作家・編集者の草下シンヤ氏は、前澤氏のフォロワーが今、狙われていると語った。「リツイートしている人たちというのは、お金を欲しがっているというところがある。すごくたくさんリツイートしているということで“カモリスト”になっている」と説明。詐欺などの犯罪を企てる者にとってちょうどいいカモが集まったリストとして販売もされているという。
「お金配りに参加する人=判断力が鈍り甘い話に弱い」と判断されたフォロワーが標的になり、詐欺などの犯罪行為を手伝う役割として勧誘されることもある。フォロワーを目当てに、似たような「お金配り」のアカウントを開設して勧誘、なかなかお金が届かないと不安になったフォロワーがDM(ダイレクトメッセージ)を送ってきたところで、さらに勧誘するといった手口だ。
偽アカウントについては、前澤氏自身も警鐘を鳴らし法的措置も検討していると明かしているが、本人の意思とは別のところでTwitter上の情報が利用されてしまう、難しい問題だと草下氏は説明した。「昔から言われていることですが、おいしい話はない。実際に(お金配りで)救われている人もいますが、それ以上に被害者が出ている」と述べた。
BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏も「(お金配りの)やり方に疑問を抱いている」とした上で、「前澤さんはとてもいい人なのだろうし、だからこそ私財を投じて困っている人にお金を配っているのだと思う。彼の善意は疑っていない。問題は『部分最適』と『全体最適』。いい人が善意でお金を配る。そこだけ見るといいことに思えるが、社会全体に視点を広げると詐欺被害の温床になってしまう懸念が生じる。そこに目を向ける必要がある」と指摘した。
神庭氏が、草下氏と同意見だったのは「おいしい話はない」という点だ。「かつては『Twitterをフォロー、リツイートするだけでお金がもらえるようなうまい話はない、詐欺だ』と言えたのに、前澤さんの存在によってその警告が無効化された。前澤さんの場合はちゃんとお金が振り込まれるからいいが、前澤さんの手法を悪用して騙す人、騙される人が出てくることにも注意を払わないといけない」とも述べた。
“偽物”については、何度も使い回されているような札束写真をTwitterに投稿して騙そうとする手口もあるが、これは写真を画像検索にかければ見抜くことができるという神庭氏。改めて「前澤さんのツイートをリツイートしている人の中には、切実にお金に困っている人や、楽をして儲けたいと思っている人もいるかもしれない。詐欺師にとっては魅力的なリストになるのではないか」と、警戒を呼びかけていた。
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