先場所に続いて横綱不在の今場所は久しぶりに大関陣が中心となって優勝争いが展開されると思われたが朝乃山に続き、最大の目玉であった新大関の正代までもが休場に追い込まれた。唯一の看板力士となってしまった大関貴景勝は全勝を守ったものの優勝候補が相次いで姿を消し、1年納めの十一月場所は荒れ模様の様相を呈してきた。
序盤5日間を終わって無敗は貴景勝、小結照ノ富士と平幕の千代の国、志摩ノ海の4人。東前頭十七枚目の志摩ノ海は幕内力士42人中、順列は42番目のいわゆる「幕尻」だ。今年は德勝龍、照ノ富士と幕尻優勝が2度も出るなど、まさに誰が優勝してもおかしくない情勢だが、果たして2度あることは3度あるのか?
近大から角界入りした志摩ノ海は負け越しなしで関取目前の幕下上位に躍進したが左膝の前十字靭帯断裂という重傷を負って序ノ口に逆戻り。どん底から這い上がって幕内に昇進した苦労人だ。しかし、大きな回り道は今となってはプラスに作用している。基礎運動を徹底して見直し、馬力に頼った相撲から「相手が嫌がる相撲を取りたい」と低い姿勢で下から押し上げ、相手が根負けして思わず引いてしまう押し相撲を磨いてきた。また、ちょっとした体の異変も見逃さず、人一倍体のケアに気を使っているのも“怪我の功名”だ。
四股名が表すように三重県志摩市出身。実家の目の前は海で亡き父は漁師だったが、寿司は苦手で好きな食べ物は焼き肉という“肉食派”だ。目がなくなるほどの満面の笑みはタレントでグルメリポーターの石塚英彦そっくりで周囲をほっこりさせてくれる。
今年の一月場所、同じ木瀬部屋の兄弟子である德勝龍が優勝したときは旗手としてオープンカーに同乗し、主役とともに歓喜の輪の中にいた。優勝の喜びを間近で味わったあのときの感覚は好調の今場所の大きなモチベーションにもなっていることだろう。ファンはその先の“石ちゃん”ばりの笑顔を待っている。
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