7日に発令される「緊急事態宣言」に合わせ、政府は時短要請を拒否した飲食店の店名を公表できるよう政令を改正する方針を固めた。公表する場合は都道府県知事が行う。
4日に東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県が発表した緊急事態行動は、お酒などを提供する飲食店などは午後8時に閉店するよう時短要請し、酒類の提供は夜7時まで。期間は8日から31日までの予定で、都は要請に応じた飲食店には1日5万円の協力金を支給するとしている。
【映像】新型コロナ、感染者数過去最多…若新雄純氏「時短守るお店を公表すべきでは?」(トークフルver.)
新型コロナの影響で時短営業を余儀なくされる街の飲食店。このニュースに慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「時期的に“飴と鞭”の使い方を間違っている」と指摘する。
「新型コロナが第一波のときは、痛み分けで『みんなで我慢しよう』と思えたが、みんな長い間耐えて疲れてきている。店名が公表されても、(時短営業に応じることで)お店が潰れてしまうのであれば、通常営業する覚悟を持っている飲食店も増えていると思う。むしろ、店名を公表しても、みんなからの同情の方が集まってしまうような時期に差しかかっているのでは」(以下、若新雄純氏)
すでに閉店した店舗やシャッターを下ろしたままの店など、飲食店の苦しい現状が浮き彫りになっている。店名をただ晒し上げる行為に、ネットでも賛否両論が集まっている。
「例えがいいかは分からないが、悪質でブラックな労働環境が続いていて改善されない職場があったとする。サボったら叱られる、みんなの前で怒られる。最初は「ムチ」が怖くて真面目にやるかもしれないが、ブラックな状態がずっと改善されないつらい状況が続いていたら『こんな劣悪な環境だったらしょうがない』とみんなが同情してしまう。むしろ、ムチを振るい続ける上司の方に反感がいくのではないか」
「今はムチよりもアメの方が大事ではないか。公表するのであれば、ちゃんと時短営業を守っているお店を公表するべき。宣伝の足しになるかは分からないが『ここは時短営業を守っているいいお店ですよ』と宣伝してあげて、上手なデザイナーに『時短営業中だけどこの店は割引しているから来てね』と分かるような告知サイトを作ってもらうなどできるのではないか。お店への補填のお金は雀の涙だと言われている。それよりも、午後8時までに行けば3%引きでも割引して、その分を国が補填するなど、頑張っている方を褒める。今は賢く工夫して、ムチよりもアメを出す時期に来ていると思う」
時短に協力しなかった店を晒すのではなく「時短に協力した店を公表するべき」と逆提案した若新氏。また、ニュース番組「ABEMAヒルズ」視聴者のコメントアンケートでは「時短拒否したら“店名公表”」に賛成が47%、反対が53%という結果だった。
緊急事態宣言の発令に向け、売上を維持しながら、感染対策を行う難しさに改めて頭を悩ます飲食店。罰としての店名公表だけではない、現場に寄り添った施策が求められている。
(ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)
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