新大関負け越しからのカド番脱出はみんな9勝止まりだった…ジンクス打破した正代に復活優勝はあるのか
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 関脇だった昨年九月場所で初優勝し、ワンチャンスをモノにして大関に昇進した正代は日の出の勢いだった。新大関場所も優勝の本命と見る向きも多く、このまま一気に綱を張るのではないかというムードすら漂っていた。しかし、大関デビュー場所は初日から白星を積み上げていったものの薄氷を踏む勝利が続き、それがもとで左足首を負傷。無念の休場を余儀なくされ、優勝候補が一転してカド番の窮地に立たされることになった。

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 現行のカド番制度となった1969年七月場所以降、新大関場所で負け越して翌場所をカド番で迎えたのは正代で9人目(公傷休場だった千代大海を除く)。過去8人のうち、大関2場所目も負け越して陥落の憂き目に遭ったのは武双山と全休した貴景勝の2人。カド番を脱出したケースでも9勝が最高の星で前の山、大受、曙、栃ノ心の4人。増位山、雅山は8勝と皆、苦戦している。

 新大関に昇進した翌場所にはカド番というまさに“一寸先は闇”の状況に立たされるプレッシャーたるや、想像を絶するものであろう。正代も場所前はとても優勝について言及する余裕などなく「カド番を脱出することに集中できたら」と言うにとどまっている。勝ち越しを決めた十日目、花道を引き揚げる際に天を仰ぎながら見せた何とも言えない表情が大きな重圧から解放された安堵感を物語っていた。

 十二日目は竜電を難なく寄り切って勝ち星を2ケタに乗せた。十三日目も際どい相撲ながら星を伸ばした。優勝争いは自身と平幕の大栄翔とのマッチレースとなったが、昇進2場所目のカド番大関にとって“鬼門”だった9勝をすでに突破した今、隠岐の海戦で“命拾い”した勝ち運も味方につけながら自身2度目の賜盃に向けて突っ走るだけだ。

物言いがついた一番も勝利
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