同世代に追い抜かれても…初優勝の大栄翔、耐えた末についにブレイク 次期大関候補に名乗り
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 初日からパワー全開の突っ張りで快進撃を続けていた西前頭筆頭の大栄翔がそのまま逃げ切り、ついに初優勝を成し遂げた。朝乃山貴景勝、正代と3日連続で大関撃破という最高のスタートを切るとその後も三役を次々となぎ倒し、平幕力士としては1991年秋場所の若花田(のちの横綱3代目若乃花)以来30年ぶりとなる、出場する三役以上の力士全員に勝つという快挙を達成した。八日目にはただ1人、ストレートで給金を直し、後続に2差をつけて折り返し。九日目に初黒星を喫し、十一日目には2敗となったがトップの座は並ばれることはあっても最後まで明け渡すことなく初賜盃を手繰り寄せた。

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 埼玉県朝霞市出身の27歳。本名は高西勇人(たかにし はやと)。個人優勝制度が認定された1909年夏場所以降、埼玉県出身力士の優勝は史上初。小1から相撲を始め、中学時代は相撲道場に通う一方、園芸部にも所属した。埼玉栄高3年のときの高校総体では団体2位、個人3位などの実績を残し、高校在学中の2012年初場所、追手風部屋から初土俵を踏んだ。大翔栄の四股名で本場所デビューした翌春場所は7戦全勝で序ノ口優勝。同年秋場所から大栄翔に改名し、所要6場所で幕下に昇進。翌々場所はいったん三段目に陥落するもその場所で7戦全勝優勝して2013年名古屋場所は一気に幕下十一枚目に躍進。その後も幕下上位で安定した成績を残し、2014年名古屋場所で新十両。2015年秋場所には新入幕を果たすが2場所で陥落。2017年初場所で十両優勝して翌場所、3度目の入幕となって以降は幕内の座を維持している。

 しかし、平幕をなかなか突破できず、その間に埼玉栄高の後輩である貴景勝をはじめ、同世代の力士に次々と先を越され、しばらくは燻り続けることになる。それでも2019年春場所以降は横綱、大関との対戦圏内に定着し、同年九州場所は横綱白鵬から金星を奪うなど8勝7敗で初の殊勲賞を受賞すると翌2020年初場所は新小結、同年秋場所は新関脇に躍進。右肘の不調もあり三役の座を明け渡すが場所後に同箇所の遊離軟骨除去手術を行うと翌十一月場所は10勝をマーク。回転よく力強い突っ張りを繰り出す取り口はさらにパワーアップして今場所の大ブレイクにつながった。

 初場所は2016年の大関琴奨菊から大関稀勢の里、栃ノ心、玉鷲、德勝龍、そして今回の大栄翔と6年連続で初優勝が出ている。新たなジンクスにも乗って素質を開花させた男は堂々と次期大関候補にも名乗りを挙げた。

13勝2敗で堂々優勝
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ド派手に落ちた後、コロンと起き上がる
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2021年 大相撲初場所
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