「こんなこと、あるんですか!?」「こんなこと…ないですよ!」
自らのアゴを軽く触れ「ここに打ってこい」「殴ってみろ」とまさかの要求。要求どおり渾身の2発を顔面で受け止めると、直後に爆腕の右フックで相手をロープまで吹き飛ばしてKO勝利。目を疑うような衝撃的な光景に、放送席も驚きを隠すことができず、しばし困惑。視聴者からも「何だこれ」「マンガかよ」「半端ねぇ」と驚きの声が殺到した。
1月23日に後楽園ホールで開催された「Krush.121」に大月晴明が6年ぶりとなる参戦を果たした。47歳の爆腕レジェンドは、6年ぶりのKrushで“殴り・殴られる”大月ワールドを体現し、明戸仁志を相手に3つのダウンを奪う圧巻のKO劇を披露した。
大月はKrushフェザー級を筆頭にムエタイなどのタイトルを戴冠。過去には現スーパーフェザー級王者のレオナ・ペタスと“倒すか倒されるか”の死闘を演じ、ファンに強烈な印象を残した。今回のKrush参戦を決意した理由については「最後にリングの上で会いたい人がいる」とキャリア最終章ともとれる発言。そんなレジェンドに対し「憧れの選手」と公言する35歳のベテラン明戸は「自分が終わらせてやる」と気合十分だ。
1ラウンド、左手を下げ右手を差し出す構えで明戸に対峙する大月は、ファーストコンタクトから急加速して強い左パンチを打ち込む。一方、自分のペースで戦いたい明戸もミドルキックなどを打ちながら徐々に手数をみせるが、ラウンド中盤になると大月の不思議な間合いに惑わされはじめる。
グローブタッチのように手を合わせてローキック、蹴り際に強いボディとフェイントを絡めた攻撃は実に変幻自在。ラウンド後半、しびれを切らしたように前に飛び込んだ明戸に大月が右のカウンターを当て、最初のダウンを奪うと「きたー」「このおっちゃん強い」「スピードも衰えてないな」と視聴者は早くも興奮気味だ。
2ラウンドは序盤から一気に距離を縮めた明戸がアッパーなど強打を当て、大月を追い込む。蹴り主体の攻撃で対抗する大月はスネがパックりと割れ、鮮血が痛々しい。しかし、臆することなく強いローを蹴り続けてみせた。
最終3ラウンド、明戸がラッシュでたたみかけるが、大月も至近距離から左ストレートの連打を明戸の顔面に当てると、再び右フックをカウンターで当て、2度目のダウンを奪う。鼻から鮮血を流し、座り込む明戸は、心を落ち着かせるようにゆっくりと立ち上がった。
再開後もガードの間を縫うように爆腕を振るう大月。すると、ここで驚くことに動きの止まった明戸に対して「殴ってこい」とアピール。これに応えた明戸が左ストレート、さらに渾身の右を放つと顔面で受け止めると、ABEMAで実況を務めた高橋大輔アナウンサーが「こんなことがあるんですか!」と驚きの絶叫。これに対して解説陣も「こんなこと…ないですよ!」と興奮、困惑気味に即答。
「今度は自分の番だ」とばかりにジリジリと前に出た大月が渾身の右ローから左を当て、よろよろと斜めに移動する明戸に渾身の右フックをねじ込んだ。ロープまで吹き飛び、リングに手足をついた明戸の様子をみたレフェリーが即座に試合を止めた。
鮮烈すぎる復帰戦に、かつて拳を合わせた解説の石川直生も「嘘でしょということをやってくれるのが大月晴明という男」と興奮気味に語ると、コメント欄も「47歳か? 本当に」「おじさん凄いな」の声。また3ラウンドの自ら殴られるリスキーなファイトスタイルには「普通に顔面に受けてたよ」「効いたらどうすんのと思ったら…すげえ」「何だこれ」「マンガかよ」「半端ねぇ」など、視聴者もすっかり大月ワールドに魅了された様子だった。