手が入らないことや思い通りにならないことなど、麻雀では日常茶飯事。そんな逆境でこそ、いつもと同じように打てる強さが求められるのかもしれない。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」2月9日の第2試合で、赤坂ドリブンズ・村上淳がおよそ1カ月ぶりとなる個人7勝目を挙げた。
この試合の対局者は渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)、EX風林火山・滝沢和典(連盟)、村上の並びでスタートした。第1試合で丸山奏子(最高位戦)が悔しいラスを引かされ、チーム順位でKONAMI麻雀格闘倶楽部に逆転を許した赤坂ドリブンズ。結果によってはセミファイナル進出のボーダーライン上から転落する一戦だったが、村上は「チーム状況はすぐに変わってしまうんですけど、自分にできることはとにかく一生懸命、最善を尽くすことだけ。最善が3着かもしれないし、2着かもしれない」と割り切って対局に臨んだ。
インタビューで「東場は僕の腕ではどうやってもアガれないだろうな、という手ばかりだった」と振り返った通り、配牌やツモにまったく恵まれない序盤の展開に、「このままアガれずにラスもあるかも」と最悪の事態を想定していたという村上。しかしそれでも無理な攻めはせず、持ち前の堅守で不用意な失点を避け続けたことが、結果的に中盤以降の逆襲への布石となる。
南1局にこの日初めてのリーチをかけた村上は、高目の4筒を前原から直撃し、リーチ・タンヤオ・平和・三色同順・裏ドラの1万2000点を加点。さらに南3局には絶好のドラ引きから5巡目に先制リーチをかけ、リーチ・一発・平和・赤・ドラの8000点で3着目から一気にトップ目に浮上した。南3局の満貫については自ら「ちょっとズルっこい手」と語るほど幸運に恵まれたものだったが、序盤の不運やチーム状況に動じるあまり「最善」を貫くことができなければ、このアガリが決定打になることもなかったはずだ。
2回のリーチをどちらも成功させ、半荘を通じての放銃は0回。ほぼ完璧と言っていい押し引きのバランスが生んだ村上のトップで、赤坂ドリブンズはKONAMI麻雀格闘倶楽部を再逆転することに成功した。レギュラーシーズンはまさに佳境を迎えているものの、村上は「残り10戦を切るくらいまでは今まで通り、ドリブンズらしく1ポイントを大事にしてやっていくと思います」とあくまでも平常心を強調。シビアな条件戦となる可能性が高い最終盤を前に、「できればそれまでに少し楽になりたい」とセミファイナル進出争いから頭ひとつ抜け出す展開を理想として掲げた。
インタビューの締めではコロナ禍による影響を受けた人々に思いを馳せ、「この対局を見て少しでも『がんばろう』と思ってくれる方がいれば本当に嬉しく思います」と熱いコメントを残した村上。誠実な人柄とプロ雀士としての意識の高さがにじむ発言に、視聴者コメント欄には「めっちゃいいこと言うー!」「明日がんばるよ ありがとう」「素晴らしいコメント」「ずんたんの言葉って元気になる」といった反響が絶え間なく寄せられていた。
【第2試合結果】
1着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)4万300点/+60.3
2着 渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)3万1700点/+11.7
3着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)3万700点/▲9.3
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)-2700点/▲62.7
【2月9日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +578.3(72/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +92.5(72/90)
3位 EX風林火山 +9.8(72/90)
4位 TEAM雷電 ▲33.9(72/90)
5位 赤坂ドリブンズ ▲91.2(72/90)
6位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲125.6(72/90)
7位 セガサミーフェニックス ▲157.0(72/90)
8位 U-NEXT Pirates ▲272.9(72/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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