やはり千両役者には、ひりつくような緊張感がよく似合う。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」2月23日の第2試合で、セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)が個人6勝目を獲得。価値あるトップで、セミファイナルシリーズ進出に向けてふたたび不死鳥の魂に火を灯した。
この試合の対局者は起家から渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)、近藤、KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智(連盟)、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)の並びでスタート。松本のみ同日2連投となった。セガサミーフェニックスは第1試合で和久津晶(連盟)が一時はトップ争いを演じながらも、終盤のめくり合いに敗れてラスに転落。セミファイナル進出のボーダーを下回る7位までわずか12.1ポイント差という土俵際で、大黒柱としてチームを支えるベテランの近藤に命運を託した。
試合後に「(東場は)けっこうやりたい放題だった」と語った通り、続々とチャンス手が舞い込んだ東場に一気呵成の攻めを見せた近藤。東1局に絶好の4面張リーチからリーチ・ツモ・平和・赤・裏ドラの8000点のアガリを決めると、続く東2局にもダブ東・チャンタの7700点を加点する。東2局1本場、東3局のリーチは空振りに終わるも、解説を務めた金太賢(協会)は「山1枚でも誠一さんのリーチって勝っちゃうんじゃないかって思っちゃう」「フォームがツモりそう」とコメントし、視聴者からも「わかりすぎて草」「確かにツモりそう」といった共感の声が続々と寄せられた。
左腕から繰り出される滑らかな所作でもファンを魅了する千両役者・近藤は、東4局1本場に2着目の松本からリーチ・一発・平和・三色同順の8000点(+300点、供託1000点)を直撃。孤立した7筒を残す絶妙な手順で生まれた678の三色同順に、解説の金も「手牌の構想力ですよね。つまらない手でもしっかりと三色に仕上げる。その頻度が多いんです。気付いたら手役ができているんですよ」と舌を巻くばかりだった。
この満貫が決定打となり、東場で築いたリードを最後まで危なげなく守り抜いた近藤。抜群の安定感を発揮した過去2シーズンに比べて、今期は開幕からなかなか調子が上向かずポイント上はマイナス圏に停滞していたものの、レギュラーシーズンの終盤に入ってしっかりと復調してきた印象だ。
90試合中80試合を終えて、なおも続く熾烈なセミファイナル進出争い。近藤は「ヒリヒリしますけどね。そういう状況でも、いかに冷静さを保って最後まで打てるかが大切」と数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランらしく勝負の真髄を語った。窮地に追い込まれても決して動じない経験豊富なサウスポーが、セガサミーフェニックスのセミファイナル進出を力強く手繰り寄せる。
【第2試合結果】
1着 セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)3万4800点/+54.8
2着 EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)2万7500点/+7.5
3着 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)2万600点/▲19.4
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智(連盟)1万7100点/▲42.9
【2月23日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +548.4(80/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +133.0(80/90)
3位 EX風林火山 +35.1(80/90)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲26.0(80/90)
5位 TEAM雷電 ▲103.0(80/90)
6位 セガサミーフェニックス ▲133.6(80/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲200.5(80/90)
8位 赤坂ドリブンズ ▲253.4(80/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)