プロ雀士としての総合力の高さと、ここ最近の好調さが如実に表れた勝利だった。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」2月25日の第2試合で、KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)がトップを獲得。エースの個人9勝目でチームは下位との差を広げ、セミファイナルシリーズ進出に大きく前進した。
この試合の対局者は起家からセガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)、内川、EX風林火山・滝沢和典(連盟)の並びでスタートした。試合前の時点で2位につけるKADOKAWAサクラナイツはポイントにやや余裕があり、内川は「残り9戦でラスを5回引かなければ通過できるのでは」とセミファイナル進出のボーダーラインを推測。「そのうちの1回を引かないように、かなり守備的に対局に臨みました」とラス回避に比重を置く戦略をチョイスした。
深く攻め込めば加点のチャンスは広がるものの、同時に失点の可能性も高まるのが麻雀というゲームの性質。一方で、放銃を恐れて守備を固めているだけではトップを取るのは難しいというジレンマもある。ラス回避を強く意識することで、必然的にトップ率もやや低下するものだが、年明けから絶好調の“サクラの王子”には守備的に打ってもなお勝利を掴めるだけの強さと勢いがあった。
東1局にリーチ・ツモ・赤の5200点という理想的な先制打を決めて優位に立った内川は、続く東2局、さらに親番の東3局もスリムな手組みで進行して失点を回避。「親番にこだわらず、先手を取られたらしっかりと引く」という守備的な戦術を徹底する。一転して東4局には、フリテンが解消される狙い通りの9索引きで1・4索待ちのリーチを敢行。村上とのリーチ対決を紙一重で制し、さらに裏ドラが3枚乗るという僥倖にも恵まれ、リーチ・赤・裏ドラ3の8000点(+供託1000点)でリードを広げた。
南場も打撃戦には参加せずに点棒の横移動を傍観し、2度のアガリで増やした持ち点をほとんど減らすことなくトップ目でオーラスまで辿り着いた内川。オーラスでの跳満ツモが逆転条件の近藤のリーチも満貫止まりとなり、数少ないチャンスをものにした内川が高い守備意識を貫徹して逃げ切り勝ちを収めた。
この勝利でチームポイントにさらに余裕ができたことから、内川はインタビューで「次は守備的に行かなくていい。思い切りやれるのが楽しみです」と次回出場時のフルスイングを予告。わずかに可能性の残る個人MVPにも色気を示し、「残り8連投させてもらおうかな」とジョークを飛ばすなど舌も滑らかだった。個人成績で首位に立つ解説のKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)は、内川の8連投宣言に笑顔で応戦しつつ、「表情にも余裕がありましたね」と冷静沈着な戦いぶりを称賛。また、残り8戦で7位との差が約400ポイントとなったKADOKAWAサクラナイツのセミファイナル進出は「ほぼ安泰」だと語った。
【第2試合結果】
1着 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)3万5100点/+55.1
2着 セガサミーフェニックス・近藤誠一(最高位戦)3万1700点/+11.7
3着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)2万3600点/▲16.4
4着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)9600点/▲50.4
【2月25日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +548.4(80/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +194.3(82/90)
3位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲26.0(80/90)
4位 EX風林火山 ▲39.5(82/90)
5位 TEAM雷電 ▲103.0(80/90)
6位 セガサミーフェニックス ▲142.9(82/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲200.5(80/90)
8位 赤坂ドリブンズ ▲230.8(82/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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