将棋界きってのトーク術を誇る木村一基九段(47)が、ちょっと困った顔をした。3月27日に放送されるプロ将棋界の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」。前回に続いてリーダー棋士を務めることになったが、ドラフト会議を前にしての心境について「意外な気の使い方をするなと思いました」とこぼした。昨年は、同学年の仲良し3人組を結成し、楽しげに戦っていた木村九段だが、悩みの種は公式戦の対戦予定だった。

【動画】ドラフトについて語る木村一基九段

 前回大会は行方尚史九段(47)、野月浩貴八段(47)と同学年チームを組むと、大会前に公開されたチーム映像でも、長年将棋で競い、プライベートでも付き合ってきた仲の良さを発揮。結果こそ予選敗退になってしまったが、ファンの心を楽しませるという面においては、十分に仕事を果たした。「予選で負けてしまいましたので、悔しいところではありましたね。3人で集まることは比較的最近では少なくなってきていたので、そういった中では久しぶりに楽しい時間を過ごすことができました」と目を細めた。

 同学年とはいえ、他人を応援するなどめったにないのが将棋の世界。また、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールという、超早指し戦も刺激的だった。「勢いというものがとても大事になります。瞬発力というか、意外な手を指すとか、そういったところが年々苦手になっているところも感じますので、歳を取っていくのはこういうものかと、嫌な面も見えてきますね」と苦笑いもしたが、実はベテランの活躍も目立ったというのが実情だ。「評判としては、若い方がいいだろうという風に見られがちですが、ベテランの中でも安定した成績を残す人がいて、やってみないとわからないなという面も大きく感じました。今年はそういった面を私自身が出せればいいなと思います」と、燃えるものも見せた。

 戦う気は満々。ところがドラフト構想となると、少し顔が曇った。今回は「チームリーダーとして出られることを想定していませんでしたので、意外な喜び」だったという。本人は順位戦でA級からB級1組に落ち、リーダーとなると思っていなかったからだ。この状況が、ドラフト指名をややこしくする。「この時期、B級1組だと当たる可能性がまだ今期はあるので、意外な気の使い方をする」。放送は3月27日だが、ドラフト会議自体の収録はその前。ABEMAトーナメント自体は非公式戦ながら、決して遊びではない。チームワークも重要なところに、公式戦でバチバチと火花を散らしている同士でチームを組むというわけにもいかない。ハイレベルの棋士を選ぼうとすると、そんなところでも悩みが出てくるというわけだ。

 とはいうものの、最後は意を決して2人を選ばなくてはいけない。いい将棋を見せるという棋士の責務は、どんな場所でも全うする。そういう男だ。「せっかくいただいた機会ですので、一生懸命指したいと思います。私自身も楽しんで、みなさんにも楽しんでいただけるような将棋を指したいです」と意気込んだ。気遣いの中で生まれたチームが組む手は、きっと優しく力強い。

◆第4回ABEMAトーナメント 前回までは「AbemaTVトーナメント」として開催。第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦になった。チームはドラフト会議により決定。リーダー棋士が2人ずつ順番に指名、重複した場合はくじ引きで決定する。第3回は12チームが参加し永瀬拓矢王座、藤井聡太王位・棋聖、増田康宏六段のチームが優勝、賞金1000万円を獲得した。第4回は全15チームが参加。14チームは前年同様にドラフトで決定。15チーム目はドラフトから漏れた棋士によるトーナメントを開催、上位3人がチームを結成する。対局のルールは持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チーム同士の対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負に変更された。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。

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