折れそうになる心を奮い立たせて、山に1枚だけ残った奇跡をつかみ取った。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」3月11日の第2試合で、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)がオーラス5本場の満貫ツモで逆転トップを獲得。TEAM雷電は暫定6位でレギュラーシーズンの90試合を終え、12日の他チームの試合結果にセミファイナル進出の運命を委ねることになった。
この試合の対局者は黒沢、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)、赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)の並びでスタートした。89戦目となる第1試合で瀬戸熊直樹(連盟)が無念のラスを引かされ、5位のKONAMI麻雀格闘倶楽部を逆転することが難しくなった6位のTEAM雷電。さらに最終日に2試合を残した7位のU-NEXT Pirates、8位のセガサミーフェニックスにも、ひとつのトップで逆転される厳しいポイント状況に追い込まれた。下位の2チームを引き離すためには、トップが絶対条件となる運命の最終戦。3シーズンに渡ってMリーグで安定した強さを発揮している黒沢の双肩に、ファンやチームメイトの願いは託された。
東1局から黒沢は鮮やかなアガリを決める。3巡目に3面張の先制リーチをかけた園田に対して紙一重の押し返しを見せ、アガリ牌の四万を重ねて8筒単騎の七対子をテンパイ。即座に8筒を引き当ててツモ・七対子の4800点(+供託1000点)に仕上げると、解説の渋川難波(協会)も「これは……すごい!」と神がかり的な手順による先制打に言葉を失っていた。
実況の日吉辰哉(連盟)が「奇跡を起こすんじゃないか?」と予想する中、黒沢は東2局にもリーチ・平和・赤・裏ドラの8000点でリードを広げる。しかしその後は一転して我慢の局が続き、二階堂の猛烈な追い上げで南3局には2着目に転落。さらにオーラスにはラス親の園田が連荘でトップ目に浮上し、南4局5本場を迎えた時点で逆転トップのためには5200点以上のツモアガリが必要な崖っぷちに立たされた。
オーラス5本場もカンチャンのメンツ選択で裏目を引き、二階堂の先制リーチを受ける苦しい展開に。しかし黒沢はここから驚異的な粘りを見せ、それぞれラス牌の6筒と中を引いてフリテンながらも4・7筒待ちのテンパイにこぎ着ける。山に残ったアガリ牌は自身が2枚切っている7筒たった1枚、残りツモ番は3回と絶体絶命の場面で、黒沢は万感の思いを込めてラス牌の7筒をツモ。苦しみ抜いた末に手にしたツモ・赤・ドラ2の8000点(+1500点、供託1000点)のアガリに、実況・解説陣は揃って「(7筒が)いたあああああ!」と絶叫した。
何度裏目を引いても決して勝利を諦めない執念が生んだ、フリテン・ラス牌による満貫ツモでの大逆転。試合後のインタビューに登場した黒沢は、極度の緊張感に憔悴しながらも「奇跡みたいなトップでした」と持てるものを出しきった充実感をにじませた。黒沢はこれが今期10勝目となり、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)と並んで2人しかいない3年連続での+100ポイント以上という記録も達成。チーム順位は6位と変わらないものの、12日のレギュラーシーズン最終日を前にU-NEXT Piratesと70.6ポイント差、セガサミーフェニックスと101.6ポイント差という厳しい条件を残すことに成功した。
【第2試合結果】
1着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)3万8500点/+58.5
2着 赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)3万1900点/+11.9
3着 EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)2万3100点/▲16.9
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)6500点/▲53.5
【3月11日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +626.3(88/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +457.9(88/90)
3位 赤坂ドリブンズ ▲3.2(90/90)
4位 EX風林火山 ▲108.8(90/90)
5位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲168.5(90/90)
6位 TEAM雷電 ▲210.5(90/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲281.1(88/90)
8位 セガサミーフェニックス ▲312.1(88/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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