「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたと思うし、逆にそれが問題なのではないか」LINEの個人情報管理問題をめぐり乙武氏
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(6枚)

 中国にあるLINEの子会社の技術者が日本のサーバー上にある利用者の氏名や電話番号、トーク履歴にアクセスできる状態にあった問題。LINEは17日、「同意を得た上でデータを第三国に移転するとお伝えはしていたものの、具体的な国を示しておらず、説明が不十分だったと認識している」とコメントしている。

・【映像】LINE会話履歴が中国で閲覧可に...情報管理の体制考える

「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたと思うし、逆にそれが問題なのではないか」LINEの個人情報管理問題をめぐり乙武氏
拡大する

 今回の問題について、作家の乙武洋匡氏は「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたのではないかという気もする。そんなに驚かなかったということが逆に問題なのではないか、という気もするが…」、テレビ朝日平石直之アナウンサーも「ちょうど日米2プラス2でもサイバーセキュリティーがテーマになっている。一般人なら“見られていたとしたら、ちょっと気持ち悪いね”くらいの感覚かもしれないが、例えば安全保障に関わる人がLINEのやりとりをもとにゆすられたとしたら、これは本当の意味での安全保障の問題に繋がってくる。だから要人の中には、特に仕事上のやりとりではLINEは使わないようにしている人もいると思う。LINEには8600万人ものユーザーがいるし、地方自治体も乗っかってきているインフラだ。それこそYahoo!Japanと一緒になったということもあるし、ここはちょっと立ち止まってみるべきなのかもしれない」と懸念を示す。

「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたと思うし、逆にそれが問題なのではないか」LINEの個人情報管理問題をめぐり乙武氏
拡大する

 ITジャーナリストの鈴木淳也氏は「日本企業がワールドワイドで開発を行うのは普通のことで、このような外注もよくある話だ。ただ2022年4月に施行される改正個人情報保護法では海外への情報の持ち出しについて明確にしなければいけないことになっている。LINEに限らず、今後1年間の猶予の間に、各社がどのように考え、自治体や我々がそれを見てどう考えるのか。そして実際には9割以上の人が規約をまともに読んでいないのではないか。その意味では、このタイミングでこういう話が出てきたということは、LINEにとっても我々にとっても良いことだと思う」と話す。

「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたと思うし、逆にそれが問題なのではないか」LINEの個人情報管理問題をめぐり乙武氏
拡大する

 「一方で、FacebookやTwitterなら信用できるのか、という問題もある。これらのサービスも結局はアメリカの企業が管理している以上、利用にあたっては信用するかしない、ということになる。電話番号などを預けても安心なのか、最終的にはその企業を信用できるか、バックにいる国を信用できるか、ということだ。逆に言えば、情報を扱う人はそういうことを当然認識した上でインフラとして使いましょうということだ」。

「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたと思うし、逆にそれが問題なのではないか」LINEの個人情報管理問題をめぐり乙武氏
拡大する

 また、ドワンゴ社で慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「LINEは前身のNHN JAPANの頃から韓国資本の企業。その親会社の方針もあり、中国の大連に大きな開発とオペレーションの拠点を持っていた。実は僕も見に行ったことがあるが、中国と韓国と日本の方が三分の一ずつ働いていた。その拠点に色々な作業を出すこと自体はずっとやってきたので、あまり違和感はなかったのだろう。ただしこれは日本の安全保障上も大きな問題だ。他のビジネスモデルで潤っているわけだから、LINE Payとかやっている場合じゃない、ちゃんとしろよ、という話だ。例えば携帯キャリアではメールサービスが出てきた直後から色々な問題が出てきたので、オペレーションセンターは万全の対策を取ろうとお金をかけて何重にも監視を設けたりしている。それでも悪いことする奴は出てくる。そこまでの労力をLINEがかけていたとはとても思えない」と指摘。

「みんな“やっぱりね”という感想を抱いたと思うし、逆にそれが問題なのではないか」LINEの個人情報管理問題をめぐり乙武氏
拡大する

 その上で「僕もNTTドコモ時代は長い規約を作っていたが、日本企業、とくに“NTT”という名前が付いていたりすると、官僚の接待はできてもユーザーは裏切れない。だからそこでブレーキもかかるが、やはり海外資本の会社の場合、容赦なくやってきてしまう。アメリカが中国系のHuaweiを締め出すというのも、そういう理由からだ。そこは我々も意識しないといけないし、“情報が第三国に行く可能性がある”という規約を読んでいなかったことについて考え直さないといけない。欧米ではGDPR(EU一般データ保護規則)の議論も盛り上がっているし、政府もきつく指導している。日本政府も大企業には規約の周知義務を課すようにするなどしないと、リスクが伝わらない。中学生くらいになったら、“SNSに情報を上げるとこういう危険があるんだよ”“今は良いと思って上げている画像でも、後で大変なことになるかもしれないよ”といった情報教育も本気でやった方がいい」と警鐘を鳴らした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

LINE会話履歴が中国で閲覧可に...情報管理の体制考える
LINE会話履歴が中国で閲覧可に...情報管理の体制考える

■Pick Up

【Z世代に聞いた】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 

この記事の写真をみる(6枚)