将棋の藤井聡太王位・棋聖(18)が3月23日、竜王戦2組ランキング戦の準決勝で、松尾歩八段(40)に75手で勝利、年度最終戦を勝利で飾り、5期連続での本戦出場を決めた。また、公式戦の連勝は「17」に。年度勝率は.8461で終え、史上初となる2度目の年度勝率「.840超え」も成し遂げた。
【中継】藤井聡太王位・棋聖、今年度最終戦にも勝利 公式戦17連勝!
プロ入り以来、最も充実した1年を勝利で締めくくった。史上初、5期連続優勝がかかった今期のランキング戦。過去22戦全勝と完璧な数字を残してきたが、本局でも実力者・松尾八段と横歩取りの出だしから、白熱した戦いを展開。序盤、中盤から積極的に持ち時間を使って先の戦いを見据えると、夜戦に入ってからは卓越した終盤力を発揮。寄せの場面では絶妙な銀の打ち捨てを見せ、解説していた棋士やファンたちを驚愕させた。これでランキング戦の無敗記録も「23」に伸ばし、豊島将之竜王(叡王、30)への挑戦につながる本戦出場を決めた。
対局を終えた藤井王位・棋聖は「序盤から積極的に動かれて、こちらが攻め込まれる展開になり、失敗してしまったかと思っていました。その後、かなり激しい展開になり、最後まで際どい将棋なのかと思って指していました」と振り返ると、絶妙手と言われた一手には「その後もかなり難解なので、進んでみないとわからないと思っていました」と語った。最年少タイトルや二冠、八段昇段、全棋士参加の一般棋戦も2度優勝という2020年度に「大きな舞台での対局を経験することができて、充実した1年でした。昨年の6月、7月は印象に残っているものが多い気がします。自分にとっても2カ月は充実した期間でした。トップ棋士の方と対戦が多い中で結果が出せたことは自信になります」と、思い起こしていた。
年間表彰にあたる「将棋大賞」でも、複数部門での受賞が確実だ。勝数は永瀬拓矢王座(28)を抜く44勝で単独首位に。勝率.8461も1位が確定している。逆に連勝記録は「17」に伸ばしたが、年度をまたぐことになったため、2位(14連勝)の澤田真吾七段(29)が繰り上がりで1位になる珍現象も生じた。タイトル二冠に棋戦優勝2回、順位戦B級2組で全勝昇級、そして竜王戦でもストレートで5期連続昇級&本戦出場と、プロ入り以来最高の一年に。MVPにあたる最優秀棋士賞を渡辺明名人(棋王、王将、36)と争うほどの活躍ぶりだ。
2021年度は新たなタイトル挑戦とともに、防衛も目指す年になる。2組ランキング戦決勝は、渡辺名人と八代弥七段(27)の勝者と対戦する。“現役最強”とも呼ばれる渡辺名人との対決ともなれば、さらに注目が集まる。また王位、棋聖の番勝負は時期が重なる“ダブル防衛戦”だ。名人戦を除くタイトル戦でも挑戦権を獲得する可能性もあり三冠、さらには四冠と保持数を増やすことがあっても不思議ではない。「来年度は防衛戦もありますし、6月ごろからかなり対局も増えると思うので、いい内容の将棋を指せるように実力を高めたい」と、さらに上を目指した。1月末に高校を自主退学し、将棋に専念する環境も整えた若き天才。新たな春の訪れとともに、さらに飛躍する。
(ABEMA/将棋チャンネルより)