エジプトのスエズ運河で23日、船の座礁事故が発生した。衛星写真を見てみると、横向きになった船が水路にすっぽりとはまっている。コンテナ船は、愛媛県今治市の正栄汽船が所有し、運航を台湾の会社が行っていたという。
【映像】格が違いすぎる…! コンテナ船と重機、大きさの比較が話題
座礁したのは全長およそ400メートルと、東京タワーよりも長い世界最大級のコンテナ船だ。スエズ運河は、幅が300メートルほどあり、座礁したコンテナ船がいかに巨大であるかが分かる。現場を撮影した別の写真には、護岸にぶつかっている船首が写っている。一緒に写っている重機と比較しても、大きさは一目瞭然だ。
地上から見ると、コンテナ船はスエズ運河を遮るように止まっていて、事故の影響で通り抜け不可能になった。普段は非常に船の往来が多い場所だが翌24日、船の姿は見当たらなかった。
運河の入り口にあたる海上では、待機する船で渋滞が発生。GPSをもとにした位置情報を見ても、運河の両側には多くの船が待機している。現在も165隻ほどが立ち往生しているという。コンテナ船座礁の原因について、エジプト政府は「砂嵐のため視界が確保できず、突風が吹いたため座礁した」と発表。現場では復旧作業が進められているが、難航している。
1869年に開通したスエズ運河は、アジアとヨーロッパを結ぶ最も重要な航路。川幅は狭いところで200メートルほどあり、1回の通行料は1隻につき、日本円で平均3000万円あまり(約30万ドル)と高額だ。
ただ、横浜・ロンドン間を例に考えると、それまでのアフリカ大陸を回るルートに比べ10日ほど短縮できる(※タンカーで時速15ノットの場合を想定)ため、去年はおよそ1万9000隻の大型船が通過している。
海運の専門誌「海事プレス」の小堺祐樹次長も「スエズ運河は世界でも最大級に重要な交通の要所」と事故の長期化への懸念を示している。
「これだけ狭隘(きょうあい)なところで超大型のコンテナ船がはまってしまうことは、なかなか例がなかったと思う。ここが詰まってしまうと他のルートが、アフリカ南端の喜望峰を回る航路しかない」
座礁船を所有していた日本の会社には、どのような責任が及ぶのだろうか。小堺氏は「今後の責任については、まだわからない」と話す。
「実際に船は誰が保有していて、誰が管理して、運行は誰だったのか。それによって、話が全然違ってくる。日本への影響がどのようになっていくのか、正直なところ、まだわからない」
物流の遅れへの懸念も高まっている今回の座礁事故。現時点で、復旧の見通しは明らかになっていない。
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