かつて格闘技志向の強い戦いを繰り広げてきた桜庭和志とケンドー・カシン。2人の技巧派による2021年のマッチアップは、アクリル板が飛び交い、噛みつきあり、さらにはレフェリーに“いちゃもん”など、まさに“何でもあり”の攻防となった。
4月18日に後楽園ホールで開催されたプロレスリングノア「NEO BREEZE 2021」。藤田和之、ケンドー・カシン組VS杉浦貴、桜庭和志組のタッグマッチは、“猛獣同士“の対決、合計112発のシバキ合いを繰り広げた藤田和之と杉浦貴によるGHCナショナル王座戦の前哨戦に注目が集まった。しかし、そんな中にあっても、ケンドー・カシンと桜庭の”煮ても焼いても食えない“マッチアップがプロレス・ファンを唸らせた。
ロープ越し、対角線上で藤田と杉浦が延々と睨み合いを続けるピリピリムードのなか、桜庭とカシンがいきなり対決。遡ってみれば、ブレイク前の桜庭がカシン(当時は素顔の石沢常光)の三角絞めにタップした「伝説の10.9」新日本 vs UWFインター全面対抗戦のタッグマッチ第一試合、そして2000年、大晦日「INOKI BOM-BA-YE」でのシングル対決と、この2人にも歴史と因縁があったのだ。
21年ぶりの邂逅は、技巧派どうしの寝技合戦から幕開け。そのままグラップリング勝負に移行するかと思いきや、互いにロープワークでプロレスならではの駆け引きを展開するのが2021年の両者だ。
さらに腕を掴んでの攻防でなんと桜庭がカシンの指に噛みつき。ヒールホールドを、カシンがくるりと回転し、技ありのラ・メセドーラをロープ際で決めると桜庭が後頭部を使った奇妙なロープブレイク。これにはABEMAの視聴者からも「いい攻防」「おもしろい絡み」「頭でロープ(ブレイク)ってありなの?」などの反応が。
ここで、ひと悶着。後頭部でのロープブレイクに逃れた桜庭をカシンがなかなか放そうとしない。すると桜庭の怒りの矛先は、カシンではなく、ワンテンポ反応が遅れた西永秀一レフェリーに向けられる。
「ロープって言ったら(コイツを)止めてくださいよ!」
桜庭が激しく食ってかかると、西永レフェリーも反論。
「止めてるよ、止めてるよちゃんと。放さないんだよコイツが」
収まりがつかない桜庭が「噛みつくし…」と食い下がれば、西永レフェリーも負けじと「先に噛みついただろ」と再び反論。このやりとりに視聴者からは「子どもの口喧嘩」「泥仕合」「コントみたい」などの声が上がった。
さらに場外、最近のカシンのお気に入りであるアクリル板を使った"変顔公開プレイの辱め”が炸裂するなど、カシンと桜庭和志の攻防が展開された。
その後、藤田と杉浦によるバチバチのエルボー合戦、さらに藤田の無慈悲なサッカーボールキック3連発による杉浦失神KOという衝撃の結末にすっかり飲み込まれてしまったが、異なる2つのプロレスを堪能したファンからは「カシンvs桜庭、藤田vs杉浦の2つのシングルという納得感」と満足の声。さらに「タッグ戦の意味がなさすぎる」などツッコミの声もあがっていた。