前局には痛恨の満貫放銃。そして第1打からの8筒3連打。この時点では、数分後にまさか役満・四暗刻が飛び出すとは誰も予想していなかったに違いない。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2020」セミファイナルシリーズ、4月20日の第2試合で、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)が役満・四暗刻を達成。実質「五暗刻」の奇跡的なアガリに、試合を見守っていたファンも大興奮に包まれた。
東2局1本場、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)のリーチを受けてオリ打ちのような形でリーチ・赤・ドラ・裏の8000点(+300点、供託1000点)を放銃してしまった鈴木。しかし「あの放銃のおかげまでありますね。あれがなかったらそんなに欲張らないじゃないですか」と、直後の東3局に“怪我の功名”という慣用句を体現したかのような欲張り打法が結実する。
鈴木は第1打で切り出した8筒を連続でツモり、河に同じ牌を3枚並べてしまう。しかしここから続々と有効牌を引き入れると、「4」の三色同刻と四暗刻に狙いを定め、前局の失点を最大限にカバーするため7巡目のタンヤオ・ツモり三暗刻のテンパイを受け入れず、四暗刻のイーシャンテンを採用する。「普通はリーチです」と語っていた解説の金太賢(協会)も、常人離れしした“ゼウスの選択”に「うわ!すごいよ!なにこの人!」と仰天。鈴木が欲しい四万、2索、4索はいずれも山に残っており、まさかの四暗刻の可能性に視聴者コメント欄にもざわめきが広がった。
10巡目、鈴木は狙い通りに4索を重ねてツモり四暗刻のリーチを敢行。こうなると河に並んだ3枚の8筒がなお激痛なだけに、実況の松嶋桃(協会)のボルテージも「(8筒)返してもらっていい!?」と最高潮に。そしてリーチから5巡後、鈴木は見事に2索を引き当てて四暗刻を達成。赤坂ドリブンズにとっても3シーズン目にして初の役満で、満貫放銃の失点を補って余りある3万2000点の加点に成功した。
ツモれば満貫のテンパイを拒否しての役満成就という離れ業を受けて、解説の金は「(普通の)人はリーチ・ツモ・タンヤオ・三暗刻ですよ。これはゼウスだわ。神の麻雀を見た」と脱帽。1巡目からの8筒3連打を含めると「五暗刻」という前代未聞の一撃に、ファンも「五暗刻だ!」「神がいた」「うーあんこおおおおお」「今、伝説が生まれた」「いきなりアンコかぶりの四暗刻は初めてみた」と酔いしれていた。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)