こんな4段ジャンプはそうそうお目にかかれない。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Aリーグの第2試合、チーム藤井とチーム三浦の対戦で、藤井聡太王位・棋聖(18)が見せた桂馬使いが、ファンや関係者の中で大きな話題となった。
将棋界には「天使の跳躍」という格言がある。他の駒と異なる独特の動きをし、さらには他の駒を飛び越せるという特徴から、どんどんと盤面中央まで跳ねていく様を表現したものだ。また桂馬は「三桂あって詰まぬことなし」という別の格言もある。藤井王位・棋聖は、デビュー以来からこの桂馬の使い方が上手いという評判があり、これまで勝利を収めてきた数々の対局でも桂馬が大活躍したものは多かった。
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という超早指し戦の中で、この天使の跳躍を藤井王位・棋聖がやってみせた。相手はタイトル経験もある実力者・三浦弘行九段(47)。後手番から攻めのチャンスを伺っていたところ、自陣にあった桂馬をまず一跳ね、続いてニ跳ねというように、あっという間に戦線に参加。解説していた阿久津主税八段(38)も「すごいですね。ぴょん吉ですよ。ついに三段跳びが来ました。ぴょんぴょんぴょんと」と、楽しげにその様子を伝えた。
単に跳ねているだけではない。その効果は絶大だった。最終的には、2一の地点にいた桂馬が、相手陣の最深部である4九まで到達。これにより三浦九段を瞬時に追い込むと58手という短手数で快勝を収めた。これには阿久津八段も「こんな4段ジャンプで寄せ切るなんて見たことがない」と目を丸くした。さらにファンからは、藤井王位・棋聖が尊敬する谷川浩司九段(59)の「光速の寄せ」を例に出し「超光速」「神速の寄せ」と絶賛する声も見られた。
9マス×9マスで作られている将棋盤で、同じ桂馬が跳ねられるのは、今回起きた4回が最多。これからも天才による天使の跳躍は、名シーンの一つとして語り継がれる。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
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