菅政権発足後初の国政選挙となる北海道と長野の補欠選挙、広島の再選挙が行われ、自民党が“全敗”した。
衆議院・北海道2区の補選は、収賄事件で吉川貴盛元農林水産大臣が議員辞職したのに伴うもので、自民党は候補者擁立を断念し不戦敗だった。参議院・長野補選は、立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通大臣の死去に伴う“弔い選挙”のため、自民党は当初から厳しいとされていた。
最大の焦点は、公選法違反で有罪が確定した河井案里前参議院議員の当選無効に伴う、広島選挙区の再選挙。広島は保守王国で自民党が強い地盤のため、ここで勝てるかが注目されていたが、政治と金の問題への有権者からの批判は強く、野党統一候補の宮口治子氏が激戦を制した。
この全敗は、衆議院議員の任期満了が10月に迫る中、選挙の顔として菅総理の足元が揺らぐ結果となった。今後の影響について、東京工業大学准教授の西田亮介氏も「今後への影響は限定的と見なす報道もあるが、やはり政権の動向に直結すると言わざるを得ない。10月までに選挙を行うのが通例だということを加味すると、多くの人が(全敗を)記憶したままの中で、政権と自民党からすればこの影響を何かで覆い隠したいはずだ。例えば東京五輪の開催と『成功』で」と話す。
今回の結果を受けて、解散総選挙が遠のいたという見方もある。この点については、「相当ポジティブな材料がないと、自民党のとくに当選回数の浅い衆院議員も不安で、解散に打って出るのはかなり厳しいのではないか。しかし、解散に打って出られないと政権は求心力を失ってしまう。何をすればいいのかと政権側も困った状況では。ただし自民党の支持率は高止まりしているので、今後、各社の世論調査などで政党支持率などが明らかになると同時に、具体的な影響や打ち手が見えてくるのではないか」とした。
西田氏は国政選挙だけでなく、同日に行われた名古屋市長選挙の結果にも注目する。「自民党は野党と相乗りになって候補者を擁立していたが、現職で署名捏造疑惑との関係も取り沙汰された河村市長に敗れた。地方選挙でも自民党候補者が敗れるということが続いている。先の千葉県知事選挙もそうだった。ボディーブローのように、政権の判断に影響を与えるのではないか」。
では、この先どういった点が注目されるか。「例えば、政権の浮揚材料になるようなワクチン接種の飛躍的改善かその見通し、今回の件と合わせて判断するのは本来はおかしな話だが東京五輪をどのように開催するのか、あるいはしないのか。様々な政治的決定が選挙の動向に影響を受けるし、その帰結が選挙にも影響を与えるだろう。それでいいのかということと合わせて考えていく必要がある」と指摘した。
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