盤から離れると、世間のイメージ以上に活動的な人が多い将棋の棋士・女流棋士。将棋と同じように頭を使うゲーム好きも多いが、野球にサッカー、バスケットなど、まさに学生の「部活動」を思わせるものも、いくつも存在する。ただ、これが「運動会」となると、またレア度が違ってくる。元関西所属の女流棋士・室谷由紀女流三段（28）が明かしたエピソードには、間近で聞いた近藤誠也七段（24）や視聴者たちが驚きを隠さなかった。
室谷女流三段の口から、将棋会で聞き慣れない「運動会」というワードが飛び出したのは4月27、28日に行われた名人戦七番勝負第2局、渡辺明名人（棋王、王将、37）と斎藤慎太郎八段（28）の放送でのこと。聞き手を務めていた室谷女流三段は、斎藤八段について語っていた最中に、急に運動会について思い出した。
室谷女流三段 関西で、まだ斎藤先生が四段とか五段とかの時代に、みんなで運動会をしようという話になったんですよ。私とある方で企画して。万博記念公園という、広い芝生のあるところにみんなで集まりまして。パン食い競走とか、組体操とか、紅白帽かぶってやったんですよ（笑）。
室谷女流三段は2014年4月1日から関東に移籍しているため、今から7年以上は前の話だろうか。今や「西の王子」と呼ばれ、コロナ禍以前のイベントでもあれば女性ファンを中心に長蛇の列ができる人気棋士。もし今、その運動会をやっていたら自然とファンが集まり、黄色い声援でも飛んでいたことだろう。
室谷女流三段 斎藤先生もいらっしゃって、組体操も今考えればすごいメンバーなんですよ。その方々を踏みつけ、私は（ピラミッドの）一番上に乗った記憶があって（笑）。今や名人戦に出られる方を踏んづけていたと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
さすがに組体操ともなれば、女性が下の段になるわけもなく、当然ピラミットの頂点になる。何段重ねのピラミッドだったか定かではないが、四段、五段…上は九段の棋士までいたとしたら、合計何十段の頂点に立ったのだろうか。
この組体操秘話には、視聴者も興味津々。「その映像見たい！神映像だな」「なぜDVDを出さないんだ！」「踏んづけそうなイメージあるｗ」「むろやんに踏みつけられたら挑戦者になれる説ｗ」と、自由な投稿で大盛り上がりした。
室谷女流三段 関東と比べると関西は所属人数が少ないのもあって、お会いする機会が多いんです。でも今じゃそんなことできないですね。骨折されては困るので（笑）。「見ていてください」ってなりそうですね。リレーも綱引きもやりました。
確かに、歴史ある名人戦の挑戦者が、組体操で骨を折ったなんてことになったら、前代未聞の一大事だ。それでも棋士・女流棋士の意外な姿は、ファンにとってはたまらないコンテンツの一つ。実現を期待する声は、会話が続くごとに高まっていた。
ここでいよいよ近藤七段も参加する。話を聞いていくにつれて、自分も体を動かしたくなったのだろう。
近藤七段 そういうのやってみたいですね、僕も。棋士の方、多いじゃないですか。「逃走中」とかやってみたいですよね。
室谷女流三段 わかるー！
出てきたのは、フジテレビ系列で放送されている人気番組で、広大なエリアを使って行う大規模な鬼ごっこ「逃走中」。逃げるのは誰か、追うハンターは誰か。そんなことを妄想するだけでも、ファンの心はさらに昂ぶった。
このエピソードトークを聞いて、自然と視聴者の間から出てきた名前が、天才棋士の藤井聡太王位・棋聖（18）だ。関西所属で、中学時代には50メートルを6秒8で走ったこともある俊足。運動会にしろ「逃走中」にしろ、走力が重要であることに変わりはない。詰将棋を解くスピードは、これまでも公開されてきたが、その俊足を見られるとなれば、そのイベントにはもれなくテレビ局のカメラが入ることだろう。「聡太に走ってほしい」「棋界きっての俊足、藤井聡太」「ハンター藤井聡太」など、夢の企画に思いを馳せるコメントも多く見られていた。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
