最終決戦へ向けて、エースが勝利でセミファイナルを締めくくった。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2020」セミファイナルシリーズ、4月30日の第2試合で渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)が技巧を凝らしてトップ獲得、今シリーズ首位でファイナル通過を決めた。
この試合の対局者は多井、EX風林火山・勝又健志(連盟)、KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)、赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)の並びでスタート。2着を取らなければ敗退という条件のある勝又に注目が集まったこの試合は、競技麻雀の醍醐味の一つでもある「条件戦」。多井は遮二無二アガリを目指すよりも、「相手がどう立ち回るか?」の思考に全神経を注いだ。
南1局、ほぼ配給原点で親を迎えると、多井は中を一鳴き。ドラ南の重なりやホンイツを見据えた高打点含みの仕掛けに出る。ここに園田がリーチ、多井はまだリャンシャンテンだ。ドラの南が一向に重ならず、誰もが多井不利と考える場面で、多井は驚きの手順をみせた。まずカン3索をチーしてイーシャンテン。園田がツモ切った9索でポンテンのドラ単騎待ちが取れたがこれは見送り。自力でテンパイとなる5索をツモると、安全牌となった9索を打ってドラ単騎待ちにたどり着いた。
その後、ドラ南を対子にしていた堀からリーチがかかり、さすがに多井も撤退かと誰もが思ったその瞬間、最後の南をツモ。中・ホンイツ・ドラ2の1万2000点をアガり、これがこの試合の決定打となった。解説を務めていた渋川難波(協会)は「見事な一局としか言いようがない!これは多井さん20分くらい語るやつですよ!」と絶賛した。視聴者もこのアガリには「嘘だろwww」「ばけもん」「これは天才」「日本で何人上がれるのあれ」と驚愕、コメント欄は騒然となった。
南4局、仕掛けた勝又から「僕は安いです、差してください」との意図を察すると、多井は徹底アシスト体制、キッチリと差し込みでゲームを終わらせた。2位サクラナイツとトップラスを決め、最高の形で今シリーズ2勝目を獲得した。
インタビューで多井は「最終戦とはこういうもの。それぞれやることが決まっている」と切り出し、特殊な状況で勝ち切った喜びに笑顔をみせた。セミファイナルの戦いを振り返ると「ギリギリでしたよ、レギュラーシーズンではやらない選択をことごとくやりました」と短期決戦の難しさに苦い顔もチラリ。
これでレギュラーシーズン、セミファイナルを連続で首位通過。「夢のような目標をずっと言ってて、レギュラーシーズン、セミファイナルまでトップで、ファイナルも一番いいスコアで終われば完全優勝。そこまではしっかり燃え尽きないように集中したいと思います」と述べた。
リーチによるアガリは0回。スコアに派手さはないが、卓上を繊細に、時には大胆に操り、さらにサクラナイツにラスを押し付けたゲームメイクはまさに超一級品。リーグ初となるレギュラーシーズン、セミファイナル、そしてファイナルを1位で終える夢の「完全優勝」への道は大きく開かれている。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)3万1100点/+51.1
2着 EX風林火山・勝又健志(連盟)2万6200点/+6.2
3着 赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)2万6000点/▲14.0
4着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)1万6700点/▲43.3
【4月30日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +536.9(16/16)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +294.5(16/16)
3位 赤坂ドリブンズ +26.6(16/16)
4位 EX風林火山 ▲82.9(16/16)
5位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲98.3(16/16)
6位 TEAM雷電 ▲346.1(16/16)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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