6日、菅総理が記者団の取材に応じ、緊急事態宣言を延長する方針を示した。

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 4月25日から4都府県(東京・大阪・京都・兵庫)で始まった3度目の緊急事態宣言。今後、政府は国民にどのような情報発信を行っていけばいいのだろうか。

菅総理の発信に“本気度”が見えない理由と「コストリーシグナリング」の重要性
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 明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「延長になれば、まさに緊急事態宣言が『これからも続きます』という発信が行われる。東京都の小池知事が有名YouTuberとコラボして話題になったが、多くの人に知らせようとする拡散のフェーズは、とっくに終わっている。いかに危機的状況を伝えるか、納得できて伝わる発信ができるかが鍵だ」と語る。

「菅総理や自治体の発信を見ていると、新型コロナの問題は『感染収束まで、結局は時間が経たないとどうにもならない』という本質的な心理があるように見える。また菅総理も時には専門家に判断を委ねる、ある種全責任を負わないような姿勢を見せたり、必要であろう法整備など、いろいろなことを先延ばしにしたりしている。もしかすると、諸外国よりも感染者数や死亡者数が少ないことを自分の中での言い訳にしているかもしれない。このようなことが透けて見えると、当然政府の意図や本気度は伝わらないことになる」

菅総理の発信に“本気度”が見えない理由と「コストリーシグナリング」の重要性
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 とうとう大会までおよそ2カ月を切った東京五輪・パラリンピック。政府がリーダーシップのある発信を行うためには、何が足りないのだろうか。藤井氏はコストリーシグナリング(相手の信頼を得るためにコストの高い行動を取る伝達行為)の必要性に言及する。

「もし緊急事態宣言が延長された場合、国民に信頼感を持ってもらうために、それなりにコストの高い行動を取ることが必要だ。ここでいうコストとは、政治家にとっての労力、負担、リスク等のこと。例えば今、国民の関心事は東京五輪・パラリンピックとの兼ね合い。五輪と国民、どちらが優先なのか。中止にしたら契約の問題、損害賠償などの費用負担やそれが将来の重税につながるかもしれないなどのリスクもあるだろうし、国際オリンピック委員会(IOC)や大会関係者の顔色も気になるだろう。しかしそれらのリスクや調整の負担を引き受けて『いざとなったら国民の命を最優先にする判断をします』と言ってほしい」

「政治家として‘‘腹を括る’’という行動の具現化がこのコストリーシグナリング。選挙のときのようなコストをかけた、必死さが伝わりうる発信をなぜしないのか。これができたら、宣言延長の発信力、信頼性は変わってくるだろう」

 現在、緊急事態宣言の対象となっている4都府県では、スポーツやコンサートなどのイベントは原則無観客とし、酒やカラオケを提供する飲食店の休業、百貨店などの大型商業施設も、生活必需品売り場を除いて休業要請が出ている。どのような形で延長するかどうか、厳しい選択が迫られている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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