試合前半に背負ったビハインドも、対戦相手の厳しいマークも問題にしない“最速最強”ぶりをまざまざと見せつけた。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2020」ファイナルシリーズ、5月11日の第2試合は、渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)が8600点持ちのラス目から怒涛の4連続アガリで大逆転。圧巻の底力でチーム2連勝を決め、「強すぎる」「麻雀星人だ」とファンを戦慄させた。
この試合の対局者はKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)、多井、EX風林火山・勝又健志(連盟)の並びでスタート。第1試合で日向藍子(最高位戦)がトップを獲得して勢いに乗る渋谷ABEMASだったが、解説を務めたTEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)が「結託してABEMASの連勝だけは阻止するはず」と語った通り、首位独走は許すまじと他チームのシビアな包囲網が敷かれる中での一戦となった。
そんな瀬戸熊の読み通り、いずれ劣らぬ麻雀巧者3人を相手に苦しい戦い強いられた多井。堀の跳満ツモの親被りに加えて、攻めに転じた場面での勝又への放銃も重なり、東4局1本場を迎えた時点で持ち点は8600点。さすがの多井も対戦相手の強力さと試合展開の苦しさから、「せめて3着になろうと。ラスはやめようと」と着順の上昇を目指すのが精いっぱいといった心境だったようだ。
しかしその謙虚な心構えが、多井に逆転の手を次々と呼び込んでいく。東4局1本場のリーチ・一発・ツモ・平和・赤の8000点(+300点)で反撃の狼煙を上げると、続く南1局の中・ドラの2000点(+供託1000点)で勝又をかわして3着目に浮上。さらに南2局、ダブ南の暗カン直後にリーチをかけると、リーチ・一発・ツモ・ダブ南・裏ドラの1万2000点。前半の苦戦が嘘のような猛攻で一気にトップ目に立った。
勢いが止まらない多井は親番の南3局にも勝又から東・ホンイツ・赤の1万2000点(+供託1000点)を直撃し、じつに4局連続となるアガリを達成。気づけば持ち点は4万4900点に到達した。ビハインドをものともしない圧巻の強さに、視聴者コメント欄も「強すぎる」「モンスターだわ」「ラスボスが過ぎる」「なんなんこの人」「麻雀星人だ」と騒然。瀬戸熊と共に解説を務めたTEAM雷電・黒沢咲(連盟)も「とにかく間違えないですね。すごい!」と常に最善の選択を重ねる多井の手腕に脱帽するほかない様子だった。
誇らしげな表情で勝利者インタビューに登場し、渋谷ABEMASのリーダーとして「白鳥(翔)と松本(吉弘)にもトップを取ってもらって、全員で優勝したいと思います」とチームメイトを鼓舞するようなコメントを残した多井。過去2シーズン連続でファイナルに進出しながら優勝が叶わなかったチームにとって、「ここぞ」の場面で絶対的なエースが獲得した劇的なトップは、ポイント以上に大きな価値のあるものとなったに違いない。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)4万800点/+60.8
2着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)2万9600点/+9.6
3着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)1万8100点/▲21.9
4着 EX風林火山・勝又健志(連盟)1万1500点/▲48.5
【5月11日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +320.2(4/12)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +162.4(4/12)
3位 EX風林火山 ▲20.5(4/12)
4位 赤坂ドリブンズ ▲74.4(4/12)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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