今や内掛け使いは“絶滅危惧種”豊昇龍の光る足技 幕内で複数回は現役ただ一人
【映像】ABEMAでみる

 今場所が大関初挑戦となった豊昇龍は夏場所六日目、その緒戦となった照ノ富士戦は全く相撲を取らせてもらえず完敗すると翌日の貴景勝戦は弱気になったのか、立ち合い変化で自滅していいところなく大関戦2連敗。しかし、モンゴル出身の21歳が本領を発揮するのはここからだった。八日目は朝乃山を立ち合いで押し込んだものの右四つの体勢で胸が合いそうになったところで右の内掛けが鮮やかに決まり、大関戦初勝利。翌九日目はもろ差しで前に出ながら右足で外掛けを放つと正代はたまらず腰から落ちた。

【動画】巨体を転がす足技の瞬間

 2日連続の大関撃破はいずれも得意の足技を駆使したものだが、昨今は力士の大型化で押し相撲が増えたせいか、吊りやうっちゃりと同様に足技も昭和の時代に比べて減少傾向にある。特に琴ヶ濱や増位山、平成に入って舞の海、時天空らが得意としていた「内掛け」の使い手は今や“絶滅危惧種”だ。豊昇龍は幕内でこれまで4番決めているが、幕内で複数回、この技で勝っている唯一の現役力士である。

 相手の投げや吊りを防御するときなどにも有効な外掛けに比べ、内掛けは卓越したセンスやバランス感覚なども求められることから頻度も少ない。豊昇龍のそれは得意の右下手で振って相手が堪えるところでその反動も利用して右足を絡めるという連続攻撃が功を奏している。

 また、1場所に内掛けと外掛けを両方決めたのは1993年(平成5年)夏場所の舞の海以来28年ぶりだが、昭和時代はさほど珍しいことではなかった。ただ、2日連続となると1974年(昭和49年)名古屋場所の増位山以来、47年ぶりとなり希少価値と言えるかもしれない。

 “内掛けの名人”と言われた大関・琴ヶ濱は平幕時代の1952年(昭和27年)春場所で3日連続を含む6番も決めたことがある。豊昇龍はまだ1場所で複数回決めたことがないが、もしかしたら今場所中にも見られるかもしれない。

ABEMA大相撲チャンネルより)

大関正代を足技で攻める豊昇龍
大関正代を足技で攻める豊昇龍

今や内掛け使いは“絶滅危惧種”豊昇龍の光る足技 幕内で複数回は現役ただ一人