プロの将棋界では、桂馬だけでなく「かつら」も跳ねる。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Cリーグ第2試合、チーム豊島とチーム羽生の対戦が5月29日に放送された。ここでチーム羽生のメンバー、佐藤紳哉七段(43)が得意の持ちネタである、かつら飛ばしを披露。ファンからは「待ってました」「やっぱりやった」と、期待通りのパフォーマンスを喜ぶ声が沸き起こった。
佐藤七段は、1997年10月に四段昇段してプロ入り。今から9年前、2012年のNHK杯テレビ将棋トーナメントで豊島将之竜王(叡王、31、当時は六段)と対戦する際、事前のコメントで「豊島?強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。だけど俺負けないよ」とプロレスばりのコメント。その際にかつらをつけて登場したことから、コメントと容姿、両方で強烈なインパクトを残し、後には「最強のエンターテイナー棋士」とまで呼ばれるようになった。イベント、大盤解説などでは表情豊かにファンを楽しませるが、対局時には苦しみと怒りが混ざったような顔で戦うことでも知られている。
この佐藤七段が、将棋界のスーパーレジェンド羽生善治九段(50)からドラフト指名を受けた際には、周囲からも驚きの反応が相次いだが、指名されたからには期待されたことはきっちり果たす。チームとしての初戦となった第1局を任されると、対局前の作戦会議からエンジン全開。景気づけに「チーム豊島戦の勝利と、予選突破を目指して、よーっ!」と音頭を取ると、羽生九段と中村太地七段(32)が手を打つと同時に、勢いよくかつらを飛ばした。これには視聴者からも「綺麗に飛びました」「いきなりやっちゃった」「ここで外すんかいw」と、爆笑のコメントが相次いだ。
対局では結局2戦2敗と貢献はできなかったが、連敗が続いた時でも常に明るく務め、チームの雰囲気を落ち込ませなかったのは、ムードメーカー佐藤七段の力によるもの。本戦出場には厳しい状況にはなったが、チーム木村との対戦ではムードをさらに高めつつ、今度はチームに勝利を持ち帰る。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)