どんな競技でも、突き詰めていけば成功する確率の高い選択を繰り返し、アベレージを上げていくのがトップ選手への最短ルートと考えられている。ただし、プロ雀士・佐々木寿人(連盟)はまるで違う。かつては「麻雀攻めダルマ」、最近では「魔王」という異名が定着した男は、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の2020シーズンにおいて、500ポイント近いプラスを叩き出し、個人MVPに輝いた。「やっぱりスカッとしてもらいたい」と、相手を完膚なきまでに叩きのめすようなファイトスタイルは、多くのファンの胸を踊らせる。その戦い様には、長年のライバルからも麻雀牌の常識を破壊したと、高く評価されている。

【動画】プロ麻雀界の概念を破壊した佐々木寿人

 所属する日本プロ麻雀連盟で数々のタイトルを獲得し、2018年にスタートしたMリーグでもKONAMI麻雀格闘倶楽部からドラフト1巡目で指名を受けた。以降、圧倒的な攻撃力でリーグ史に残るアガリや得点を重ね、「魔王」という異名が定着し始めた。2020シーズンは、開幕前から個人成績で+500という大きな目標を掲げたが、終わってみれば+494.1。達成率98.8%で、堂々の個人MVPを受賞した。「スカッとしてもらいたい。自分の麻雀はそれが体現できていると思う。勝つなら独壇場というのを意識している」と、アガり出したら止まらない、圧倒的な勝利を常に頭に描いている。

 「衝撃的な出会い」と語る麻雀との初めての接点は高校2年生の時。「眠れないくらい興奮した」と、今でもはっきり覚えている。自宅に帰っても、そのゲーム性のおもしろさに感動した気持ちが収まらなかった。発掘された麻雀センスは、日本プロ麻雀連盟の大先輩であり、KONAMI麻雀格闘倶楽部のチームメイト・前原雄大にも見出されていた。「付き合いも、もう20年ぐらいになる。(佐々木がアマチュア時代に)連盟に入会を勧めた。これは逸材だと」。ただ佐々木は、「職業として成り立つのか」と、プロ入りを決意するまで4~5年を要し、2006年・28歳でようやくプロ入りした。当時は今のように放送対局も数多くあった状況でもなく、麻雀だけで食べていける人はほとんどいないほど。そのころから強気の麻雀で勝ち続けていたことが、現在のスターダムにつながった。

 同じ日本プロ麻雀連盟で、長年のライバルとされるEX風林火山・滝沢和典からしても、とにかく攻める佐々木の雀風は斬新だった。「(麻雀は)一番得なことをした人が勝つのが当たり前で、強い人は同じ打ち方になっていく。そう思っていたんですが、それを佐々木寿人がぶっ壊した」。確実にポイントを積み重ねることで、トータルで勝つのが競技麻雀の世界。「弱いものに強くて、丁寧な麻雀を打つ人には勝てない」というのが、佐々木に対するプロの間での前評判だったが、佐々木はそれを破壊した。見ている人が胸を躍らすような痛快な攻め麻雀は、くしくも「ミスター麻雀」と呼ばれた小島武夫さんのイズムを継承するようなもの。多少の負けも、大きな勝ちで吹き飛ばす。そうしてファンを納得させてきた。

 理論派雀士も増える中、細かい研究は「基本的にしない」。ただし練習はきっちり積む。「普段の稽古で、ブレないようにやる。何を切るかとか、そういうのじゃない。これだけやると、どこで行って、どこで引くか。(映像も)昔は自分が負けた試合も見ていましたけど、今は気持ちを上げるために勝った試合を見る。そこに行き着きました」という、超実戦派だ。戦いの中でこそ発見があり、勝利でのみ成長する。マイナス要素を体内に入れずひたすら前進するからこそ、多くのファンは佐々木の姿にまた憧れる。

(ABEMA/麻雀チャンネルより)

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