将棋の藤井聡太王位・棋聖(18)が6月3日、順位戦B級1組2回戦で稲葉陽八段(32)に165手で敗れた。藤井王位・棋戦は、今期から同組に参戦。1回戦では三浦弘行九段(47)に最終盤で逆転勝利を収めていたが、この日は稲葉八段の集中力を切らさない鋭い将棋に苦しみ続け、2戦連続での逆転勝利はならなかった。継続していた順位戦の連勝は、歴代2位の「22」でストップした。
【中継】順位戦 B級1組 藤井聡太王位・棋聖 対 稲葉陽八段
これまで何度も奇跡的な逆転劇を演じてきた藤井王位・棋聖だが、本局ではチャンスこそあったものの勝利には届かなかった。前日まで40勝1敗、勝率.9756と、順位戦では驚異的な成績をあげてきたが、本局では角換わり腰掛け銀の出だしから、夕食休憩までは互角に。夜戦に入ってから稲葉八段にペースを握られかけても、鋭い勝負手で何度も互角に戻すなど、粘り強さも発揮していた。だが最終盤で逆に鋭く踏み込まれると一気にリードを奪われ敗勢に。藤井王位・棋聖にしては珍しく終盤のねじり合いで競り負ける結果となった。
対局後、藤井王位・棋聖は「うまく対応できなくて、あまり勝機のない将棋になってしまいました。(終盤は)形勢が苦しい時間が長かったので、最初の長考で正しい方向に進めなかったが悔やまれます」と難解な一局を振り返ると、B級1組初黒星には「先が長いと思うので次の一局に全力を尽くしたいです」とコメント。順位戦通算では2敗目となったことには「B級1組は手強い相手ばかりなので、その中で自分の力が足りないところがあるのかな、という印象です」と語った。
午前10時に始まった対局の終局は、日をまたいで4日の午前1時過ぎ。深夜の大熱戦で惜敗したが、すぐに次なる戦いが待っている。6日からは渡辺明名人(棋王、王将、37)を挑戦者に迎えて、ヒューリック杯棋聖戦五番勝負が開幕。最年少でのタイトル初防衛を目指すシリーズが始まる。棋聖戦五番勝負第1局まで中2日、今週だけでも3局をこなすというハードスケジュールの中、今夜の敗戦によるダメージ・疲労をどう抜いて、大一番に備えるか。トップ棋士との対戦が続くのはタイトルホルダーの宿命だが、どうコンディションを整えるかにも注目が集まってくる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)