将棋の藤井聡太棋聖(王位、18)が6月6日、ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第1局で、午前9時から挑戦者の渡辺明名人(棋王、王将、37)と対戦する。昨年、挑戦者として出場し、最年少でのタイトルを獲得したこの五番勝負。今年もタイトルホルダー同士による超ハイレベルな戦いが期待されている。前日5日の記者会見で藤井棋聖は「自分なりにしっかり取り組むことはできた」と、現在最多の三冠を保持する“最強の挑戦者”への対応についての手応えを見せた。会見の内容は以下のとおり。
-棋聖を獲得して1年、この間2つ目のタイトルも取り、銀河戦、朝日杯も優勝しました。どんな1年でしたか。
この1年は今までと違うタイトルホルダーという立場になって、その中で銀河戦や朝日杯では結果を出すことができましたし、今までできなかった貴重な経験もできて、成長できた1年でした。
-去年のタイトル戦を迎える直前の心境と、現在の防衛を目指す心境に違いはありますか。
昨年の棋聖戦は挑戦が決まって、すぐに第1局があったので、自分としてはタイトル戦ということは意識する間もなく始まりました。今回はタイトルホルダーという立場で棋聖戦を迎えることになって、挑戦者が渡辺名人に決まって今日まで、徐々に気持ちが高まってきている気がします。
-五番勝負に向けての準備はどうでしょう。
自分なりになんというかしっかり取り組むことはできたかなと思っています。
-渡辺名人を挑戦者に迎える心境と決まった時の率直な感想をお願いします。
渡辺名人は、今年の名人戦も防衛されて、大変充実されている。挑戦者決定戦の対局は、途中苦しい場面も長かったと思うんですが、そこからも非常に粘り強く指されていて、改めて非常に手強い相手だなと思いました。渡辺名人はやはり、番勝負で作戦が巧みという印象がありますので、そこで遅れを取らないように、こちらもしっかり対応したいです。
-シリーズを通しての戦略はありますか。
戦略という面では渡辺名人の方に一日の長があると思っているので、それに対してこちらがしっかり考えて対応していければと思っています。
-先日の順位戦では稲葉陽八段に敗れ、永瀬拓矢王座、三浦弘行九段と、苦しい戦いが続いています。調子はどうでしょう。
客観的に状態がいいというわけではないんでしょうけど、棋聖戦の開幕が決まってから、それに向けてコンディションに整えていければと思っていましたし、自分自身の気持ちを高めて臨めればと思います。
-王位戦七番勝負では豊島将之竜王と戦い、2つ合わせて最長で12局になります。
6月には王位戦も始まることになりますが、渡辺名人と豊島竜王、将棋界を代表するお二人との対戦になるので、自分自身とても楽しみですし、その番勝負を自分自身、成長できる機会にできればと思っています。
-将棋界には「タイトルを防衛して一人前」という言葉がありますが、それについてどう思いますか。
自分自身、防衛戦というのは初めてなので、どうでしょう(笑)。やってみると挑戦とは違うところもあるかもしれないですが、その違いは意識せずに、今回の棋聖戦にも臨めればと思っています。
-昨年の2つのタイトル戦から1年。成長したと実感が持てるところはありますか。
はっきりとはわかることではないですが、最近は序盤の形勢判断や指し方の改善に取り組んでいるので、今回の番勝負でもそういった序盤からの工夫をお見せできるように頑張ります。
-持ち時間4時間についての対策はありますか。
公式戦で、持ち時間4時間での対局は多いですけど、タイトル戦では少しスケジュールが異なってくるので、昨年のことも少し思い出しながらやることにはなると思います。
-タイトル戦では食事やあいさつなどのイベントがあるが、その対応はどうですか。
食事については、タイトル戦で全国いろいろなところに行くことができて、地元の食べ物がいただけるのは楽しみにしています。第1局は前夜祭がなくなってしまったんですが、タイトル戦ですと、注目していただけますし、ファンの方と接する機会も多いと思いますので、そのあたりも力に変えたいです。
-(会見で)声が大きくなった印象があります。
あまり意識はしていないですが、結構、声が小さい方ではあるので、少し張らないといけないこともあるのかなと思います。
-地元の子どもたちへ将棋の楽しさのメッセージをお願いします。
まず今回、自分自身木更津を訪れるのは初めてなんですが、対局室からの眺めもきれいで、素晴らしい対局場を用意していただいたことに感謝しています。緊急事態宣言の影響もあって、少しイベントが中止になってしまう残念なこともあったんですが、熱戦になるように全力を尽くしたいと思っていますので、楽しんで観戦していただきたいですし、子どもたちにも楽しんで将棋を続けていただければと思います。
(ABEMA/将棋チャンネルより)







