プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Cリーグ第3試合、チーム羽生とチーム木村の対戦が6月5日に放送され、チーム羽生の中村太地七段(33)が、大会史上初めて、3局連続で出場し3連勝する快挙を達成した。第1局から木村一基九段(47)、池永天志五段(28)、佐々木勇気七段(26)の順に勝利。チームも5-2で勝利、抽選の末に本戦出場を果たすという奇跡の展開を招く大活躍となった。
将棋界のレジェンド羽生善治九段(50)からも「史上初の3連勝だ。大記録が生まれた。素晴らしい!」と大絶賛されるほどの暴れぶりだった。チーム豊島との対戦では2戦2敗といいところがなかった中村七段。予選通過には5-2以上の勝利が必要な中、プレッシャーがかかる第1局を任されると、腹を括って強敵・木村九段にぶつかっていった。相手が得意とする相掛かりの出だしながら、工夫を凝らして力戦に持ち込むと、生命力の強い木村玉を逃すことなく90手で勝利した。
勢いそのままに第2局にも登場すると、池永五段とも相掛かりに。この一局でも我慢を強いられる時間が長かったが、双方持ち時間がなくなったところでの叩き合いを制して2連勝。その勢いをさらに加速させた。
こうなれば、連戦の疲れも不思議と感じない。佐々木七段との対戦は、序盤から意表を突いた袖飛車を採用。早い段階ではっきりと優勢になると、相手に何もさせず「すごく上手くいって、自分でもびっくり」という会心譜となった。これには観戦していた羽生九段も「史上初の3連勝。大記録が生まれた」と称えると、佐藤紳哉七段(43)も「世界記録だ!」と大喜び。ファンからも「王座取った時の太地が戻ってきた」「いつもよりイケメンに見えるw」と称賛のコメントが降り注いだほか、中村七段の3連投を決めた羽生九段に対しても「これは羽生さん名采配」という声も多かった。
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という超早指しに苦戦をしていた印象もあった中村七段。ただ、この3連勝ではコツをつかんだか、積極的な姿勢と工夫がうまくマッチ。タイトル経験者の実力を余すところなく出し切った。ぎりぎりのところで予選通過となったが、本戦での戦いぶりに期待したい棋士が、また一人見つかった。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)