決して戦略どおりにスマートに勝ったわけではない。むしろ何度も大きな傷を受けてはその度に這い上がり、そして頂点に立った。そんな印象だ。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2020シーズンで優勝を果たしたのはEX風林火山。二階堂亜樹、滝沢和典、勝又健志(いずれも連盟)の3人は、開幕前に成績次第でメンバー入れ替え、チーム解散などを宣言し、自ら退路を断って戦った。ほんの少し、何かがずれていれば今ごろこの3人によるチームは終了していたところだが、傷だらけでも前進を止めない武士のような強さが、最後には笑顔の栄冠につながった。

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 リーグ初年度から同じ3人で戦ってきたEX風林火山。1年目の2018シーズンでは抜群の守備力に支えられた安定感を誇り、準優勝という好成績を収めた。ところが、さらにその上を目指した2019シーズンは、まさかの最下位に。藤沢晴信マネージャー(後に監督に就任)が、成績次第で最低1人、最大では実質解散となる3人の入れ替えを開幕前に宣言。周囲に言われることなく、自ら背水の陣を敷いたことで、特にレギュラーシーズン後半、セミファイナルシリーズなどは、単なる成績だけでなく選手の行く末について注目を集めることになった。

 今年のEX風林火山は、よく負けた。レギュラーシーズンでトップ20回に対して、ラスは23回。セミファイナルでもトップ4回、ラス4回。とにかくボロボロに傷つきながらも、前へと歩みを進めた。滝沢からすれば「4着があまりに多かった。勝つための麻雀ができたかもしれないが、それにしてもラスが多い」と、理想の勝ち上がりではなかったと振り返ると、二階堂も同意。「チーム全体は山あり谷ありのシーズン。(チームの)最初は安定感が売り、みたいなところもありましたが、今期はもう安定感はどこへやらという感じでした」と苦笑いした。逆転優勝の立役者となった勝又でさえ「(セミファイナルまで)全く戦力にならなくて、2人に助けられてばかりだった」と言うほど。セミファイナル最終戦で、ぎりぎりでの勝ち残りを果たす2000点のアガリを決めた男も、解散寸前の状態を思い出せば身が細る思いだ。

 ぎりぎりの4位で進出したファイナルは、それまでの苦労が報われたかのように、きれいに優勝への道が切り開かれていた。3人揃って、まるで想像もしていなかった逆転優勝だが、4位スタートになったことで上位の争いからマークが外れる展開に。自由に打っている間に勢いに乗り、そのまま最後まで突っ走る。一気呵成に攻め立てた様子は、戦国時代の猛将たちそのものだった。勝又は「もちろん厳しい差だとは思っていましたが、3人ともそれくらいの差を逆転してきた過去がありましたから、最後まで優勝できると思って、自分たちの麻雀を信じて戦っているだけでした」と、上位3チームをきれいに抜き去ったファイナルを回想した。

 来期はディフェンディングチャンピオンとして、他の7チームの挑戦を受ける立場になる。チームは既に1人追加して、来期は4人体制で臨むことを決めている。現在は新たな武士を選ぶ戦いの真っ最中だ。二階堂は「3年間、3人で戦って最高の結果を迎えられたんですけど、新しい方に期待して、4人になって新たなEX風林火山として頑張っていきます」と決意を述べた。

 まさに崖っぷちから無数の傷を受けても、決して諦めずに刀を振り続けた二階堂、滝沢、勝又の3人。新たな仲間を加えた後、その刀さばきにはどんな変化が起きたとしても、それは再び凱歌をあげるためのものだ。

(ABEMA/麻雀チャンネルより)

Mリーグ2020 EX風林火山優勝インタビュー
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激闘の末に優勝したEX風林火山
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