上原浩治氏への容姿言及記事、運営元のJ-CASTを取材「改めて謝罪したい」 臨床心理士が指摘する“2つの問題”
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「これは、産んでくれた親に失礼だと思います」
「自分は何とか大丈夫ですが…それでも少し凹んでます」

 元プロ野球選手で現在は野球解説者として活動する上原浩治さんが、自身の容姿に言及した記事にSNSで不快感を示した。

【映像】上原さんがブログにつづった内容「ブサイクでも野球頑張りました」「あなたに何か迷惑かけましたか??」(2分ごろ~)

 発端は、11日にインターネットで公開された「J-CASTテレビウォッチ」内のコラム「てれび見朱蘭(みしゅらん)」。コラム内で、記者はNHKのテレビ番組に出演していた上原さんの野球解説を「面白い」と評価。その上で、上原さんの外見に対し「現役の時、筆者は彼の顔が苦手で、余り好意をもっていなかった。引退後の上原は美醜に関係がなくなり、発言もしっかりしてきた」と、現役時代のプレーや野球解説に全く関係のない“容姿”に言及した。

上原浩治氏への容姿言及記事、運営元のJ-CASTを取材「改めて謝罪したい」 臨床心理士が指摘する“2つの問題”
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 記事を知った上原さんは12日、自身のTwitterで「容姿のことを言われてもこれでも一生懸命に生きてるんです。親には感謝してます。苦手な顔、好意を持ってない…そりゃ~好き嫌いは自由ですが、表立って書くことではないと思うんです。俺だって人間…傷つくこともありますので」と吐露。13日には自身のInstagramで「少し凹んでいます」と投稿し、同日ブログでも「報道の自由にも程があります」とつづった。

 上原さんの抗議に、ネット上からも「容姿うんぬんを書く記者がいることに絶句。人権意識が強く問われる」「野球のプレーと全く関係のない容姿を否定する記事。有名人なら何を書いても良いと思ってるんだろうけど、ヒドイ話」といった声が相次いで寄せられた。

 こうした一連の動きを受け、J-CASTテレビウォッチを運営するジェイ・キャストメディア事業本部は14日、記事の内容を不適切と判断し、コラムから問題の箇所を削除。記事内に上原さんへの謝罪文を追記した。また、15日をもって「テレビ見朱蘭」の配信を休止し、これまでの記事についても掲載を見合わせると発表した。

 ABEMAヒルズでも、運営元のジェイ・キャストメディア事業本部を取材。次のように回答を寄せている。

▼ABEMAヒルズの取材に対してジェイ・キャストメディア事業本部の回答(一部抜粋)

上原浩治氏への容姿言及記事、運営元のJ-CASTを取材「改めて謝罪したい」 臨床心理士が指摘する“2つの問題”
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「今回の問題の原因は、ひとえに編集部のチェック体制の不備にあり、深く反省しております。上原氏の所属事務所に改めて謝罪したい旨、ご連絡を差し上げております。あわせて郵送にて上原氏への謝罪文をお送りしています。同コラムについては、15日をもって配信を休止するとともに、11日のコラムを含むこれまでの記事についても、サイト上での掲載を見合わせることに決定いたしました」

 波紋を呼んでいる上原氏への容姿言及記事。ニュース番組『ABEMAヒルズ』にコメンテーターとして出演した明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は、今回の件について「2つの問題がある」と指摘する。

「まず、この時代に見た目に言及するのは、かなりデリケートなことだという前提が、運営元においてもあまり共有されていなかったのではないかと思う。記事の内容としては“2つの問題”があった。1つは、記事で見た目に言及するといった、そもそものレベルの低さが問題。2つ目は、単なる誹謗中傷ではなく、記事の趣旨は『上原さんの解説が面白い』という内容だった。ただ、趣旨は褒めていても、その中に批判が混じることで、単なる誹謗中傷より心が傷つきやすい」

上原浩治氏への容姿言及記事、運営元のJ-CASTを取材「改めて謝罪したい」 臨床心理士が指摘する“2つの問題”
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 元巨人エースであり、メジャーでも活躍した上原さん。以前から“巨人ファン”で、上原氏を球界デビュー時から見ているという藤井氏は「上原さんほどの偉大な選手であれば、現役時代、球場でも野次やいわれなき批判などはたくさんあったはずだ」とコメント。「それらは一時的な感情的反応をぶつけてくる“アンチ”として受け流すことができても、ポジティブな評価や分析と一緒に批判をされると、『ああ、本当にそう思っているんだな』と自分の中での真実味が増してしまい、心に刺さりやすくなるので人は受け流しづらくなる。今回の記事で、見た目を言及する必要性はまったくなかった」と見解を語った。

 「J-CASTテレビウォッチ」内の該当ページには、記者本人のコメントはなく、書き手にどのような意図があったのかは不明だ。藤井氏は「上原さんがどれくらい傷ついたのか他人にはわからない。書き手は、もしあるのならば意図や真意を上原さんに説明し、直接話を聞き謝罪した上で、当事者同士でしっかり話し合う必要がある」と話す。

 最後に、藤井氏は「われわれは誰しも視覚的な情報を対人コミュニケーションの大きな手がかりとしている限り、どうしても容姿への印象や感覚に言及したくなる側面がある」と述べ、「見た目に対する個人の感情や感覚を無くすことはできないが、それを表現する際には相当の自制が前提になることを踏まえておくべきだ」と付け加えた。

 配信元のメディアにも責任が求められる“報道のあり方”。今回の一件に、ジェイ・キャスト メディア事業本部は「現代のメディアとしてどのような発信が求められているのか、スタッフ一人ひとりが立ち止まって考える機会とし、皆様に信頼いただける媒体運営を目指して参ります」とつづっている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】容姿言及記事に波紋 配信元が謝罪
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