プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2020シーズンの締め括りとなったファイナルシリーズ最終戦。差をつけられての4位だった赤坂ドリブンズの控室では、普段とは全く異なる会話が展開されていた。天文学的な確率を諦めず逆転トップを狙いに行くか、現実的に優勝の可能性がある他チームの戦いに関与せず傍観するか、それとも…。関係者、ファンの間でも大きな話題となったこの試合の前後には、ただ戦えばいいというわけではない選手たちの苦悩が凝縮されていた。

【動画】最終戦を前に議論する赤坂ドリブンズ

 2020シーズンの最終日となった5月18日。前日までのスコアでEX風林火山、KADOKAWAサクラナイツ、渋谷ABEMASが三つ巴の大接戦となり、赤坂ドリブンズは優勝まで約250ポイント差をつけられていた。第1試合前の時点で優勝の可能性は低く2位もしくは3位と、1つでも順位を上げられるかが、現実的な目標に思われた。ただ第1試合で園田賢(最高位戦)がラスに終わったことで、さらに差は広がることに。シーズン最終戦である第2試合を託された村上淳(最高位戦)は、ここでの戦い方をチームメイトに相談していた。

 村上 どうなんですかね。(普通に)アガっていいと思う?

 園田 目標を何に置くかだよね。親が落ちた後に。

 麻雀のタイトル戦では、優勝を争える見込みがなくなった選手について、どう打ち進めるべきかという問題が度々起きる。逆転の可能性がない選手が前に出てくれば、激しい優勝争いをしている選手の支障になるから、という考えによるものだ。

 村上 タイトル戦でこういう状況は死ぬほどやったことがあって、だいたい僕はオリを目指しちゃう。(Mリーグで)それが正しいか、よくわからない。

 ここで過去に村上同様、タイトル戦で厳しい状況に置かれた経験を持つ鈴木たろう(最高位戦)が口を開いた。

 鈴木 (個人のタイトル戦は)半荘ポイント、関係ないもんね。Mリーグって、この成績がずっと残っていく可能性があるから。(半荘ポイントの最大化を)どこまでやりきれるかだよね。

 園田 やるんだったら、やりきらなきゃってなる。オーラスもポン、チー、1000点をやりきるべきだと思うし、とにかく一貫性を持ってやるべき。

 鈴木 でも支持は得られないよね。

 優勝の可能性が消えた選手が、目の前のアガリや順位に対して真っ直ぐ向かうべきか否か。村上自身も「オリを目指しちゃう」と語っていたように、邪魔せずにその他の対戦者に委ねるというケースも多い。その中で最終的に赤坂ドリブンズは、少しでもプラスを積んでラストマッチを終えるという決断をした。

 3位でファイナルシリーズに進出し、逆転優勝を狙っていた赤坂ドリブンズ。初優勝を果たした2018シーズンの再現を願っていたが、とにかくトップが遠かった。ところが、ある意味で最も「トップでなくてもいい」この最終戦で、村上の手に次々と手が入る。皮肉な運命この上なかった。状況に後押しされるようにトップを取って帰ってきた村上だが、控室に戻るなり「やりきったよ。くそう、悔しいね。なんか情けないけどめちゃめちゃアガれるし。なんかもう、いろいろ、なんかなぁ。悔しいなぁ」と、泣き顔のまま無念さを吐露した。

 その後、この最終戦については選手、ファンの間でも様々な意見が飛び交い、今後の麻雀界におけるタイトル戦の戦い方について、問題提起をするものにもなった。4チーム横並びで最終戦を迎えることがあれば起きない問題だが、現実はそう簡単にはならない。むしろ真っ直ぐ戦うべきか悩む選手が出る方が多いだろう。この日の赤坂ドリブンズの苦悩は、きっとこれからの麻雀界をより戦いやすくするための礎になる。

(ABEMA/麻雀チャンネルより)

難しい最終戦の戦い方
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Mリーグ2020 ファイナル優勝チームが決定!
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