対局前からプロレスばりのマイクパフォーマンス(?)。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Dリーグ第2試合、チーム永瀬とチーム天彦の対戦が6月19日に放送されたが、この中でチーム永瀬のリーダー永瀬拓矢王座(28)とチーム天彦・鈴木大介九段(46)が舌戦を繰り広げるシーンがあった。2人は多くの練習対局を繰り返してきた間柄。盤外の戦いでも大いに盛り上げた。
永瀬王座は将棋にかけるストイックな姿勢から「軍曹」「中尉」などと呼ばれるタイトルホルダー。かつては振り飛車党だったが、鈴木九段のアドバイスもあり居飛車党に天候した。永瀬王座のプロ入り間もないころから練習対局を繰り返し、棋士としての姿勢も鈴木九段から学んだというだけに、この戦いにはファンからも大きな注目が集まっていた。
第1局から激突したこの2人。永瀬王座は「(鈴木九段の出場は)予想できていましたので、これからも予想を当てていきたいです」とにっこり。これに鈴木九段は、リーダー佐藤天彦九段(33)と声を揃えて「恐いなぁ」とぽつり。鈴木九段は「まさか永瀬さんと(対局と)は思わなくて楽しみです。昔のお返しがあるならここだと思うので」とジョークも飛ばすと、締めには「にゃんぱすー!」とチーム名にもなっているアニメのセリフで呼びかけたが、永瀬王座は笑って返すだけだった。
お互いチームメイトとの作戦会議に入ってからも、相手への印象についての話は続いていく。永瀬王座が「四間飛車が自然なのかなと。近年はお忙しいので、あまり指す機会はないんですけど、数としてはかなり教わっていますので」と対戦のイメージがつかめていると語れば、鈴木九段は「恐い男だね。読み切りって失礼じゃない!あんなに昔、お世話したのに。やってやりますよ!雷、落としてやります」と、笑いながらも後輩に喝を入れようと気合を高めていた。
事前に行われていたインタビューで気持ちを高めていたのは、永瀬王座の方だ。「長い間将棋を教えていただいたことに、自分はとても感謝しています」と言った直後「棋士になってから、かなり将棋を教えていただいたことがありますので、その記憶が蘇って血がたぎってくるんじゃないでしょうか」と、今以上にギラついていたデビュー時代を思い起こしていた。
結果は、現在の将棋界でも4強と呼ばれ脂が乗っている永瀬王座が110手で快勝。久しぶりの対局を制し、満足した表情だった。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)