寧仁太・アリのセミファイナル出場は、抜擢と言ってよかった。ウェルター級マッチ、赤コーナーは同級の元チャンピオンである山際和希だ。
 対するアリはキャリアわずか5戦目。ここまでの4戦は全勝、かつすべてKOというパーフェクト・レコードを持つ。抜擢されたアリが元王者をも乗り越えてしまうのか、それとも山際が新鋭にトップの厳しさを教え込むのか。はっきりとしたテーマのある試合だ。
 山際は蹴りを主体に、大崩れしない堅実な闘いで結果を残してきた選手。“勝ち職人”という異名もある。勢いだけで勝てる相手ではないのだが、アリはそんな相手と堂々たる勝負を展開した。