将棋の藤井聡太棋聖(王位、18)が7月4日、ヒューリック杯棋聖戦で防衛を果たしたことに関する一夜明け会見に出席した。渡辺明名人(棋王、王将、37)に3勝0敗のストレート勝ちを収め、18歳11カ月での防衛、九段昇段という最年少記録を更新。今後については「それぞれの局面について最善に近づいていきたい」とさらなる向上心を語った。主な内容は以下のとおり。
【動画】ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負 第三局 藤井聡太棋聖 対 渡辺明名人
――初防衛の気持ちを、初タイトルを取った時との違いとともにお願いします。
昨年の棋聖戦の時はタイトル戦自体初めての経験で、なかなか実感がわかないところがあったんですけど、今回は防衛戦でタイトルの重みを感じながらの戦いだったので、その中で結果を出せたのは大きかったと思います。
――(会見で)色紙には「初心」と書かれました。
今回防衛することができたんですけど、結果に満足することなく初心に戻って前を向いて行きたいという気持ちを込めました。
――よく眠れた?
昨日は12時ごろに寝て、7時ごろに起きたので、普段と同じぐらい寝られました。
――振り返った?
終盤の難しい局面が多かったので、そのあたり少し考えていました。
――渡辺名人にストレートで勝利。豊島竜王とは王位戦、叡王戦で「十二番勝負」となっています。
豊島竜王とは、これまでの対戦成績でも大きく負け越していて、その強さを非常に感じているので、今回の王位戦と叡王戦で、最大12局対戦できる機会は、自分にとっていい機会をもらえたと思っていますし、その中で新たな発見や手応えがあればなと思っています。
――過去のインタビューで相対的に強くなるのではなく、絶対的になりたいと言っていました。どういう強さなんでしょうか。
他の方との比較ではなくて、それぞれの局面においてより最善に近づいていきたいという思いはあります。
――これからの1週間、順位戦や竜王戦などでも戦いがあります。
久保九段と山崎八段、他の方には真似できない将棋を指される方と思います。そういった指し回しに自分も対応できればと思います。
――師匠、家族とは連絡は。
今のところは特に、こちらからは連絡はしていないんですが、師匠から「おめでとう」とメールをもらいました。
――師匠(杉本昌隆八段)を上回る段位になりました。
師匠以上の活躍をするのが恩返しと言われるので、今回こういった結果を出せたのは、いい報告になるのではと思います。
――師匠と、他に会話はありましたか。
将棋の終盤のことがメールにも書かれていて。それを見て、その局面を考えてみたというところはあります。
――和服での対局についての思いはありますか。
和服での対局については、かなり回数も増えてきて、慣れてきたところはあると思います。着付けについても今後覚えていきたいです。タイトル戦となると和服は注目していただけるので、ある程度自分の個性を出していければと思っています。
――タイトルの重みとはどんなものでしょうか。
そういった気持ちがプレッシャーになってはよくないと思いますが、今回の棋聖戦に関しては、ほどよい緊張感の中で戦うことができたのかなと思います。
――コロナ対策をしながらのタイトル戦になり、ファンとの接触が少ない状況が続いています。
昨年からやっぱりタイトル戦の前夜祭など難しい状況になってしまって、ファンの方に楽しんでいただく機会が減ってしまったのは残念です。インターネットの中継というのが、非常に充実してきている状況もあるので、今までと違う形で楽しんでいただく機会も増えてきたのかなと思っています。今まで前夜祭のイベントなどはあまり経験がないことなので、そういったものが開催されることを心待ちにしたいです。
――将棋を指すモチベーションについてお願いします。
将棋は一局指すごとに全く違うゲームなので、その中で今までにない自分の感覚にない手を見つけられるのは大きなモチベーションになっています。少し具体的な指し手の話だと、王位戦で3六飛と寄った手があったんですが、3六飛は部分的な手筋ではあるんですが、こちらの陣形との組み合わせでは、あまりうまくいかないところがあるみたいで、対局中には、うまく判断できなかったところなので、そういった新しい発見というのを、大事にして、自分なりに理由付けをして取り組んでいきたいなと思っています。
――状況や対局が落ち着いたらやってみたいことはありますか。
最近、あまり鉄道に乗る機会も少ないんですが、王位戦で第2局で鉄道に乗る機会があるので、それは楽しみにしたいのと、他にもいろいろあるので、機会があればそういったところのも行ってみたいと思います。
(ABEMA/将棋チャンネルより)