40代50代のコロナ重症者が激増 専門病院、一般病院、在宅医…各医療現場を取り巻く第5波の現実
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 新型コロナの感染再拡大で40代、50代の重症化が深刻になっている。東京都の小池知事は6日の会見で「40代50代の重症の方々の比率が高い」とコメント。同日、確認された重症者135人のうち、約6割が40代、50代だった。

【映像】厚労省発表のコロナ患者「重症度の分類」(画像あり)※21分ごろ~

 この爆発的な感染拡大の原因はデルタ株の流行だ。ニュース番組『ABEMA Prime』では、最前線で治療にあたる医師6人がリモート出演。これまでの感染状況との決定的な違い、また医療ひっ迫の実情など、それぞれが直面している現実を聞いた。

 現在の感染状況を現場の医師たちはどのように見ているのか。大阪大学医学部・感染制御学教授の忽那賢志氏は「高齢者が広くワクチンを接種したことで、高齢者の感染・重症化は減っている」と語る。

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「私が働く大阪大学の病院では、ワクチンを打っていた40~50代で重症化した人は、まだいない。しかし、40~50代で、ワクチンを打っていない方々は、デルタ株の影響でより重症化しやすくなっている。現場の実感では、重症化している人はほとんどワクチンを打っていないか、運悪くワクチンの効果が出ていない間に重症化してしまった方ばかりだ。感染者が急激に増えた結果、遅れて今になって重症者数が増えてきているように感じる」(忽那氏)

 荏原病院耳鼻咽喉科医長の木村百合香氏も「まだ40代、50代にはワクチンが行き渡っていない」といい、「ワクチンを打っていて重症化している人は少ない印象。やはりワクチンを打っていない人が重症化していると思う」と話す。40代、50代のコロナ患者が増える中、今回の第5波はこれまでと何が違うのだろうか。

「見た目の重症者数は、前の第3波の流行時とあまり変わらないように見受けられるかもしれないが、(重症者が)高齢者の場合、ある程度、最終的には合併症があったり、寝たきりであったり、緩和治療の形で、医療資源が投資されることなく亡くなる人もかなり多かった、しかし、40代、50代は人工呼吸器やエクモ(体外式膜型人工肺)など医療資源をすべて投入している。よって、医療資源をずっと使い続けることになる。今、私が働く病院はだいたい100名以上が入院しているが、その中で重症化する患者さんが非常に増えてきている。若くても、あれよあれよという間に酸素投与が必要になって、レスピレーター(人工呼吸器)が必要になる患者さんも多い。そろそろ、私どもの病院では受け入れを制限せざるを得ないような状況に来ている」(木村氏)

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「普通の病院には100人分の人工呼吸器は当然ない。私どもの病院でも回せて10台だ。どの病院でも100床あるからといって、100床で人工呼吸器を使えるかというと、全くそんなことはない。数は限られているし、人工呼吸器を維持するには、従事しなければならないスタッフも非常に多い。だから、今の現場は非常にまずい状況だ」(木村氏)

 人工呼吸器を患者に使う場合、2週間から1カ月程度は装着したままになる。つまり、10台しかない人工呼吸器で、1カ月間で助けられるのは最大約20人、最小で約10人だ。

■ 大規模なクラスター感染を経験した永寿総合病院、在宅医療の現場は?

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 去年、大規模なクラスター感染が発生した永寿総合病院は現在どのような状況なのだろうか。同病院のがん診療支援・緩和ケアセンター長の廣橋猛氏は「当時は、まだ第1波で相手がわからない状況だった。PCR検査もできず、治療もわからず、どんどん患者さんの具合が悪くなって、我々もすごく恐怖を感じていた」と過去を振り返る。

「私どもの病院は東京のど真ん中、上野の中心にある。第5波の感染が広がる中、普通に繁華街に今日(7月6日)も人がいっぱいいた。『大丈夫かな?』とかなり恐怖を感じながら歩く状況だ。(新型コロナ以外の病気で)一般治療で入院されている患者さんも多い。救急の患者さんも、通常の手術の患者さんも、全員PCR検査を行っているが、まったく予想していないところで『実はPCRで陽性だった』といったケースもあった。感染症に慣れている病院ならともかく、私どものような一般の病院は、非常に怖い思いをしながら、通常診療を行っている」(廣橋氏)

 また、在宅医療の現状について、首都圏で最大規模の在宅医療を提供している医療法人社団悠翔会の理事長・診療部長の佐々木淳氏は「在宅医は、普段は基礎疾患がある方、通院が困難な要介護の人たちを定期的に診察する。今回は新型コロナにかかって普段は診ない若い患者さんたちを『自宅で診てくれ』と東京都や千葉県などから要請されて、今まさにその取り組みを始めたところだ」と話す。

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 去年末から今年初めにかけて、東京都の1日の新規感染者数が2000人を超えた頃、佐々木氏が診察に行っている介護施設や在宅医療の現場でクラスター感染が相次いだ。しかし、今は「凪のような穏やかな状態で、まったくクラスター感染が起きていない」という。なぜなのだろうか。

「在宅医療で普段診ている高齢者の介護施設、多疾患といった複数の病気を持った人たちの世界は今、クラスター感染は本当にない。なぜかというと、私たち医療介護従事者はみんなワクチンを打っているし、我々の患者たちは、95%ぐらいがワクチン接種を完了している。高齢者施設ではスクリーニングPCRという、感染していないかどうか定期的に全員のPCR検査をやる。たまに1人、陽性の人が見つかっても、全く広がっていない。以前は1人いたら何人も陽性だったのが、今はその人だけ。そんな状況でクラスター感染は起きない。だから私たちの世界は安全なバブルの内側という感じだ」

■ ワクチン3回目の追加接種は必要? 第5波後の感染の波に備えるために

 新型コロナ抑え込みのカギとなるワクチン。前述の忽那氏は「今回の第5波もワクチン接種が進んで、ここまでの流行にならなければ、一番良かった」と述べる。その上で「第5波がこれから落ちついたとして、その後、また次の大きな感染の波が来たときに、今回よりも重症者を少なく抑えるためには、やはりワクチン接種をどんどん進める必要がある」とワクチン接種の重要性に言及。

「日本の場合、諸外国より少し遅れてワクチン接種が開始されたので、長期的な抗体価の推移はない。しかし、抗体価で見ると下がってくると思う。ただ、ワクチンの効果は必ずしも抗体の数値と一致しないところがある。抗体は下がっているが免疫全体では保たれている可能性もある。追加接種が必要なのか、まだ議論(の余地)がある。海外の事例を参考にしながら、追加接種の検討をすべきだと思う」(忽那氏)

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 一方で、自治体によってはワクチン接種の予約ができず、10月、11月になるといったケースも発生している。ワクチン接種を担当する河野太郎大臣のブログには、9月中には希望者全員にワクチンが回るだけの数を確保しているとつづられているが、なぜ自治体によってこのような問題が出ているのだろうか。どこかに余剰ワクチンがあるのだろうか。

「このあたりは私も十分に把握できていない。ワクチンの数は保たれていても、本当に必要とされているところにちゃんと配分されておらず、どこかでワクチンが余っているのだと思う。ワクチンが、どこにどれくらいあるか、ある程度把握できて、融通が効く仕組みを作るべきだ」(忽那氏) (『ABEMA Prime』より)

【映像】ワクチン反対派のコロナ患者は救うべきか? ひろゆき氏の質問に医師らの回答
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