「努力」とひとことで言っても、その質や量に対する捉え方は、人によって大きく変わる。近年においては、無駄な時間を省き、より質の高いものを効率的にこなすべき、という声も大きくなる中、圧倒的な時間を割いて将棋界のトップ棋士に仲間入りしたのが永瀬拓矢王座(28)だ。同世代である黒沢怜生六段(29)からは「本当にすごい。将棋と毎日向き合っている。年間でいうと5000時間ぐらい。それを20年続けている」という証言もあるほど。そのストイックな姿勢で、ファンからは「軍曹」と呼ばれることもある実力者は、周囲からの称賛もやまないほど尋常ではない努力を重ね、それに耐える根性の持ち主だ。