藤井聡太王位・棋聖、タイトル戦でも勝率8割という衝撃「最高難度の防衛戦」でも変わらぬ強さ
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 将棋藤井聡太王位・棋聖(19)が8月24、25日に行われたお~いお茶杯王位戦七番勝負第5局に勝利し、シリーズ成績4勝1敗で王位初防衛を果たした。これで昨期、最年少でタイトル挑戦を果たしたヒューリック杯棋聖戦五番勝負以来、タイトル戦で挑戦・防衛の失敗なしに、4連続でタイトル獲得を果たした。この10月でデビュー丸5年を迎える中、通算勝率でも.840を行き来するという驚愕の数字を叩き出しているが、なんとタイトルを争う番勝負でも勝率は.800。獲得率100%も納得という数字だ。

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 現在、将棋界には8つのタイトルがある。これを渡辺明名人(棋王、王将、37)、豊島将之竜王(叡王、31)、藤井王位・棋聖、永瀬拓矢王座(28)という4人が分け合っている。これにより「4強」とも呼ばれ、タイトルホルダー同士が直接対決で奪い合う状況も増えており、これは将棋界の歴史では頻繁に起こっていた。当然、実力が拮抗したもの同士が戦えば、奪い奪われという展開になっていくはずが、藤井王位・棋聖はこれが当てはまっていない。

 番勝負は、迎え撃つ現タイトル保持者よりも、勢いがついている挑戦者の方が有利、というのは、よく言われる話だ。昨年度の藤井王位・棋聖も、最年少でのタイトル挑戦から獲得、さらには二冠と突っ走った。若者の勢いそのまま、という印象もあったが、今年度においては棋聖、王位どちらも防衛戦。しかも挑戦者が渡辺名人、豊島竜王という序列の1位、2位なのだから、現在において「最高難度の防衛戦」だったこともわかる。

 第1局と最終局以外は、事前に先手・後手がわかり、また最短でも持ち時間が各4時間というタイトル戦は、まさにその棋士の地力が試される。入念に練られた作戦で、序盤から大きく突き放されれば、どれだけ時間があっても逆転は困難だ。藤井王位・棋聖からすると、序中盤で相手の研究手に食らいつき、互角以上で得意の終盤に持ち込めれば勝ちパターン。最近では、大差をつけてからは勝利に一直線ではなく、より確実に勝つ手順を踏む、大人の将棋もするようになった。

 藤井王位・棋聖が出場したタイトル戦は、開催中の叡王戦五番勝負を含めて5つ。通算で20戦16勝、勝率は.800だ。デビュー間もない若手が、各棋戦の予選などで勝ちまくる時にしか見られないような高勝率が、タイトル戦という最高の舞台でも維持されている。これなら番勝負に出る度に、タイトル数が増えていくのも当然だ。

 叡王を獲得すれば史上初の「10代三冠」。さらに今年度は開催順に竜王、王将、棋王と、年度内に最大で六冠まで伸ばすこともできる。この3つを保持するのは、渡辺名人と豊島竜王。この2人から、次々とタイトルを奪うことになった時、いよいよ「藤井時代」が到来する。

◆藤井聡太王位・棋聖 タイトル戦の全成績

2020年度

棋聖戦五番勝負(挑戦) 渡辺明棋聖 3勝1敗

王位戦七番勝負(挑戦) 木村一基王位 4勝0敗

2021年度

棋聖戦五番勝負(防衛) 渡辺明名人 3勝0敗

王位戦七番勝負(防衛) 豊島将之竜王 4勝1敗

叡王戦五番勝負(挑戦) 豊島将之叡王 2勝2敗 ※開催中

ABEMA/将棋チャンネルより)

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