11月21日に開幕となる2022FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)。全日程と対戦カードが決まったが、いまだ出場国の全てが出揃ったわけではない。

延期された欧州プレーオフは、3カ国間での準決勝(6月1日)決勝(6月5日)を経て残る1枠が決まる。アジアでは最終予選3位の2カ国によるプレーオフ(6月8日)を控え、その勝者と他3地域(南米・北中米カリブ海・オセアニア)による大陸間プレーオフ(6月14、15日)にて残り2枠が決定となる。

ここでは残りわずか3枠のカタールW杯出場権獲得を争う、8つの国についてまとめていく。


カタールW杯、残り3枠を争うプレーオフ出場8カ国を一挙紹介
ウクライナ代表 DFオレクサンドル・ジンチェンコ 写真:Getty Images

ウクライナ(欧州プレーオフ)

2006年ドイツW杯の初出場以降、本大会出場から離れてしまっているウクライナ。直近のユーロ2020(UEFA欧州選手権)では、母国の英雄アンドリー・シェフチェンコ監督が率いて、結果も過去最高成績となるベスト8と躍進。カタールW杯への期待も高まっていたが、現状は出場を確定できていない。

今欧州予選では、王者フランスと同組のグループDを戦い2位でプレーオフへ。6月1日に予定されているスコットランド戦と、勝ち進んだ先に待ち構えるウェールズ(決勝6月5日)の壁を破り、4大会ぶりとなるW杯出場を勝ち取れるのか注目だ。


スコットランド(欧州プレーオフ)

近年はW杯出場から遠ざかっているスコットランド。今欧州予選では、デンマークやオーストリアといった中堅の国々と競い合い、プレーオフまで駒を進めてきた。現在の代表メンバーには、アンドリュー・ロバートソン(リバプール)やスコット・マクトミネイ(マンチェスター・ユナイテッド)など、名門クラブで活躍する選手も多い。

仮に本大会出場を決めた場合、前回ロシアW杯4位のイングランドが待つグループBに入る。しかし、残るはイランとアメリカが相手であり、混戦も十分に考えられる。欧州予選という高い壁を打ち破り、台風の目になれるかどうかが楽しみな国である。


カタールW杯、残り3枠を争うプレーオフ出場8カ国を一挙紹介
ウェールズ代表 FWガレス・ベイル 写真:Getty Images

ウェールズ(欧州プレーオフ)

すでにオーストリアとのプレーオフを勝利(2-1)で終え、ウクライナとスコットランドの勝者を待ち受けるウェールズ。突破が目前である一方、ライアン・ギグス現代表監督が女性関係を巡るトラブルにより停職中と、内情に不安要素も抱えている。

W杯出場は1958年が最初で最後となっており、実に半世紀以上に渡って本大会にたどり着けていない。しかし、ガレス・ベイル(レアル・マドリード)を筆頭に頼れるベテランも健在。プレーオフ初戦でもベイルの2得点でオーストリアを下しており、チームに勢いを与えた。

対するウクライナまたはスコットランドも近年本大会に出ていないのは変わらない。だが、出場できずにいた期間の重みはウェールズの方が上だろう。あと一歩のところまで駒を進めている今予選。選手たちにかかる期待もまた、重たいものとなっている。


オーストラリア(アジアプレーオフ)

W杯アジア予選に登場するようになって以来、日本の最大のライバルと言っても過言ではないオーストラリア。実際に今最終予選でも日本と同組となり、終盤までストレートインとなる順位を争っていた。

しかし、今回で言えば日本との相性は最悪だったと言える。アジア予選3連勝で最高のスタートを切ったが、日本に敗北(2021年10月12日)のあと中国戦を含む2分けで勝ち点を落とした。また、勝てば大混戦に持ち込める日本との第2ラウンド(2022年3月24日)でも得意のホームゲームで敗北。結果的に最終サウジアラビア戦も落としてしまった。

グループ3位でプレーオフに回ったオーストラリアは、アジア5位をかけて6月8日にUAEと戦う。勝ち抜けば大陸間プレーオフにて南米5位のペルーが待ち受けており、本大会までは茨の道と言えるだろう。

カタールW杯、残り3枠を争うプレーオフ出場8カ国を一挙紹介
アラブ首長国連邦代表 FWカイオ・カネド 写真:Getty Images

アラブ首長国連邦(アジアプレーオフ)

混戦となったアジア最終予選グループAで、3位を守ったUAE(アラブ首長国連邦)。直近のW杯出場は、1990年までさかのぼる。しかし直近のアジアカップでは、2大会(2015年、2019年)連続でベスト4に入るなど、アジアでは確固たる地位を築いている。

プレーオフで対戦するオーストラリアは、奇しくも2015年のアジアカップで決勝進出を阻まれた相手。2019年も準々決勝で顔を合わせるなど、因縁も深い。それだけに、まずはアジアの突破がかかる6月8日のオーストラリア戦。選手たちの熱量も高い試合になるはずだ。


ニュージーランド(大陸間プレーオフ/オセアニア予選1位)

オセアニア予選の決勝(2022年3月30日)で5-0と危なげなく勝利し、大陸間プレーオフへと駒を進めたニュージーランド。オーストラリアがアジア予選に参加するようになって以降は、オセアニア内で無類の強さを誇っている。

しかし、現レギュレーションでは0.5枠しかないオセアニア。地域内での予選を突破しても大陸間プレーオフを余儀なくされ、ここ2大会は北中米カリブ海・南米のチームを相手に敗退している。今回もまた、コスタリカとの対戦(6月15日)が予定されており、容易な試合ではないだろう。

W杯は次回2026年大会より、出場枠が現在の32ヵ国から48ヵ国へと増える予定。オセアニアも現在の0.5枠から1枠へと拡大されるが、果たして今回は地力で出場を勝ち取ることができるか、注目が集まる。


カタールW杯、残り3枠を争うプレーオフ出場8カ国を一挙紹介
コスタリカ代表 FWジョエル・キャンベル 写真:Getty Images

コスタリカ(大陸間プレーオフ/北中米カリブ海予選4位)

北中米カリブ海予選を4位で終え、6月15日にニュージーランドとの大一番を控えるコスタリカ。予選ではストレートインラインの3位アメリカに勝ち点で並ぶも、得失点差で大陸間プレーオフに回っていた。

近年はW杯出場も増え、中でもベスト8と過去最高成績を残したブラジル大会(2014年)の躍進は記憶に新しい。ウルグアイ、イングランド、イタリアという優勝経験を持つ3カ国と同組になるも、2勝1分と堂々たる成績でグループリーグを突破していた。

カタールW杯への出場が決まれば、スペインやドイツと同組(グループE)となる。しかし、大番狂わせの実績があるだけに、期待の高いチームであることも事実だ。


ペルー(大陸間プレーオフ/南米予選5位)

大混戦の南米予選をなんとか5位で終えたペルー。6位にコロンビア、7位にチリが入っていることから考えても、南米で5位以内に入ることがいかに難しいかがわかる。

ペルーは前回ロシアW杯(2018)にて、9大会ぶりとなる本大会出場を果たした。しかし、結果はグループリーグ敗退と不本意なまま終わっている。カタールW杯への出場が決まれば、奇しくも前回大会のグループリーグで敗北を喫した、王者フランスとデンマークが待つグループDに割り当てが決まっている。

雪辱を果たすためにも、6月14日に行われるアジア5位(オーストラリア対アラブ首長国連邦の勝者)との大陸間プレーオフは、負けられない戦いになる。