攻撃を押し上げるためには鎌田のような選手が必要である

先日、日本サッカー協会から6月の代表戦を戦う28名の日本代表が発表された。11月に開催されるワールドカップ・カタール大会に向けたテストゲームであり、通常の23名より多い招集となった。

注目は鎌田大地だろう。アジア最終予選の終盤では選外となっていたテクニシャンだが、所属クラブであるフランクフルトでは好調を維持。ELではバルセロナ、ウェストハムと各国の強豪を破ってファイナルに進出し、レンジャーズを下した。チームはEL王者となり、来季のCL出場権を獲得している。

そんな鎌田だが、今回も招集されない可能性があった。それはサムライブルーが採用する[4-3-3]とのかみ合いの悪さだ。中盤3枚を支えるインサイドハーフには守田英正のようなピッチを広くカバーできるバランサーが採用されている。前線は伊東純也のようなスピードを生かしたアタッカーが多く、彼らのちょうど真ん中にポジションを取る鎌田は起用できるポジションがない。アジア最終予選終盤でメンバー外となっていたのはこの要素が強い。

では今後起用されるとすればどのポジションになるのか。それはインサイドハーフの一角だろう。森保一監督はメンバー発表の会見にて「まずはコンセプトのベースをしっかり浸透させる。その上でできれば新しいチャレンジをしたい」とコメントしている。あくまで[4-3-3]の形は崩さないという意思表示だ。

といっても、実際のタスクはトップ下としての色が強いものになるはずだ。ワールドカップで戦うスペイン代表やドイツ代表はとにかくボールを保持して日本代表を押し込んでくる。そうなると好機はセットプレイ、もしくは相手がボールをロストした際のカウンターになる。カウンターでは前田大然や古橋亨梧、伊東ら快足トリオを武器に攻撃を行うだろう。そのボールの中継地点として鎌田は必須になる。

鎌田はフリーなポジションを見つけ、後方からボールを引き出す動きが非常に上手い。それほどフィジカルに長けた選手ではないが、簡単に倒れない強さはあり、一瞬の切り返しで相手を置き去りにすることもできる。それはELの決勝トーナメントで各国強豪相手にも通用した武器だ。とにかく、前線でボールを落ち着かせるには鎌田を経由することが有効な手段となるだろう。それでいて決定的なパスや動き出しができる選手で、古橋のようなストライカーを操ることもできる。

まずはブラジル戦含む計4試合の親善試合で鎌田の中盤起用は試されることになるだろう。ELを制してコンディションは高いはずであり、代表復帰戦での活躍に期待だ。