11月1日、サッカー日本代表を率いる森保一監督が、FIFAワールドカップ・カタール2022(カタールW杯)に臨むメンバー26名を発表した。メンバー入りが有力視されるも逃した選手には、原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)、古橋享吾(セルティック/スコットランド)らがいるが、全体としては比較的順当だといえるだろう。
チームは17日に、UAEのドバイで最後の強化試合であるキリンチャレンジカップのカナダ戦を戦い、20日から開幕するカタールW杯本大会を迎える。グループリーグ第1節で23日にドイツと、第2節で27日にコスタリカと、第3節で12月1日にスペインと対戦。史上初のベスト8以上を目指す。
しかし、最初の目標であるW杯グループリーグ突破のためには、強豪のドイツとスペインの牙城を崩さねばならない。そのために、森保監督はどのような策を練っているのか。選ばれた26名の顔ぶれから戦い方を予想した。
FW陣:前田、上田、浅野といえば
まず注目したいのが、FW陣の顔ぶれだ。身体を張ったプレーを得意とした大迫、所属するセルティックで好調をキープする古橋が選出外となり、前田大然(セルティック)、上田綺世(サークル・ブルッヘ)、浅野拓磨(ボーフム)がメンバー入りした。
古橋と前田はどちらもスピードに優れるが、単純な得点能力ならば古橋が上だ。それでも前田が選出されたということは、彼の持つ類まれなスプリント能力とスタミナが買われたのだろう。
この組み合わせから思い出されるのは、9月23日に行われたアメリカ戦(2-0で勝利)である。4-2-3-1の形で挑んだ日本代表は1トップに前田が入り、前線からプレスをかけ続けた。前田自身がシュートを打つことはできなかったものの、アメリカの機能不全を引き起こした大きな要因となり、森保監督もこの試合に手ごたえを感じたのではないか。
相手が強ければ強いほどその良さを消すことを考える必要があり、ドイツとスペインを相手に前田をぶつけ、前線からの守備という役割を担う可能性は高い。また上田と浅野は、途中出場やコスタリカ戦で得点を奪いきるという、こちらも重要な役割を担うのではないか。
左サイドの多さ:久保、三笘、南野、相馬
あまり大きなサプライズのなかったメンバー発表だったが、比較的驚きを呼んだのが相馬勇紀(名古屋グランパス)の選出と、左サイドの人員の多さだろう。日本代表で左サイドを務めることが多い選手では、久保建英(レアル・ソシエダ)、三笘薫(ブライトン)、南野拓実(モナコ)、そして相馬と、4人が名を連ねている。
4-2-3-1の左サイドを担う可能性が高いのは久保と三笘であり、ということは南野と相馬には他の役割がある。南野は鎌田大地(フランクフルト)とトップ下を争うこと、相馬はおそらく3バック時のウイングバック(WB)への適正ではないか。単純な戦力面では強豪国に劣る日本がグループリーグを突破しベスト8以上に進むには、柔軟な戦い方は必要不可欠。さまざまな状況を想定して、相馬のメンバー入りとなったのだと思われる。
DF陣:板倉、冨安、伊藤、谷口らの幅広い起用
DF登録の選手は9名が名を連ね、怪我の影響が心配された板倉滉(ボルシアMG)もメンバー入り。板倉が間に合ったことで、戦術の幅は一気に広がった。その他にも冨安健洋(アーセナル)、伊藤洋輝(シュトゥットガルト)などユーティリティさを持つ選手が多く、また板倉が選ばれながら谷口彰悟(川崎フロンターレ)も招集されたことから、森保監督がさまざまな状況を想定していることがうかがえる。
前回大会(ロシアW杯2018)決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では、本大会直前の監督交代(ヴァヒド・ハリルホジッチ監督から西野朗監督へ)の影響もあり、終盤の逃げ切り策を持たなかったことが最後に響いた(2-3で惜敗)。だが今カタールW杯に向けては前回大会以上にDF陣の質が高く、森保監督は長きにわたって指揮を執る。これまでの起用法に限らない幅の広い起用が期待できそうだ。
FIFAワールドカップカタール2022に臨む26名の顔ぶれは以下のとおり。
GK
- 川島永嗣(ストラスブール/フランス)
- 権田修一(清水エスパルス)
- シュミット・ダニエル(シント・トロイデン/ベルギー)
DF
- 長友佑都(FC東京)
- 吉田麻也(シャルケ/ドイツ)
- 酒井宏樹(浦和レッズ)
- 谷口彰悟(川崎フロンターレ)
- 山根視来(川崎フロンターレ)
- 板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)
- 中山雄太(ハダースフィールド/イングランド)
- 冨安健洋(アーセナル/イングランド)
- 伊藤洋輝(シュトゥットガルト/ドイツ)
MF/FW
- 柴崎岳(レガネス/スペイン)
- 遠藤航(シュトゥットガルト/ドイツ)
- 伊東純也(スタッド・ランス/フランス)
- 浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
- 南野拓実(モナコ/フランス)
- 守田英正(スポルティング/ポルトガル)
- 鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
- 相馬勇紀(名古屋グランパス)
- 三笘薫(ブライトン/イングランド)
- 前田大然(セルティック/スコットランド)
- 堂安律(フライブルク/ドイツ)
- 上田綺世(サークル・ブルッヘ/ベルギー)
- 田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)
- 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)