元スコットランド代表DFで、同国で監督も務めたクレイグ・レベイン氏が、6月1日にホームで行なうウクライナ戦(カタール・ワールドカップ欧州予選のプレーオフ準決勝)を前に、プロ意識を説いた。

 この一戦は本来3月に開催されるはずだったが、ロシアのウクライナへの侵攻を受けて延期に。ただ、その軍事侵攻はいまだ終息の気配が見えず、前日会見に出席したウクナイナ代表MFオレクサンドル・ジンチェンコ(マンチェスター・シティ)は、涙ながらに「全てのウクライナ人はこの戦争を止める、この1つのことだけを望んでいる」と訴えた。

 そうした異例の状況に、スコットランド側も当然、やりづらさがある。レベイン氏は英メディア『BBC』のコラムで、「この国のサッカーチームが置かれている状況は特別だ」と綴っている。
 
「世界中の人々がこの試合に注目し、ほとんどの人が水曜日のウクライナ戦で(スコットランドの)失敗を望んでいるだろう。このウクライナの選手たちは、母国で起こっているトラウマ的な状況を考えると、可能な限り準備を整えているということだ。

 彼らはこれまでも親善試合を行なってきたが、今回黄色いシャツを着て、観客の前に出るときの彼らの生の感情や、強烈な国家的プライドを理解することは誰にもできないだろう」

 だが、感傷的なムードに浸るわけにはいかない。24年ぶりのワールドカップ出場に向け、6日のウェールズとの決勝に進むために、余計なことは考えず、あくまで勝利だけを考えるべきだと伝えている。

「日曜にカーディフで行なわれる決勝に進むために、難しい夜に難しい相手を破ることに集中しなければならない。ウクライナで起こっていることをできるだけ頭から消し去り、可能な限りプロフェッショナルであるべきだ」

 ウェールズとの最終決戦への挑戦権を掴むのは、いったいどちらか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】スコットランド戦の前日会見で涙を流すジンチェンコ