ウクライナ代表のオレクサンドル・ペトラコフ監督が、ワールドカップ(W杯)出場を逃すも対戦相手へのエールを送った。イギリス『スカイ・スポーツ』が伝えている。

ロシアによる軍事侵攻を受け、3月に行われる予定だったカタールW杯の欧州予選プレーオフが延期となっていたウクライナだが、1日に行われたプレーオフ準決勝ではスコットランド代表に勝利。勢いに乗るチームは5日に行われたプレーオフ決勝で、16年ぶり2回目の本大会出場を懸けてウェールズ代表と対戦した。

試合は立ち上がりからアグレッシブな展開となると、DFオレクサンドル・ジンチェンコを中心とした攻撃で幾度となく相手ゴールに迫りながらもゴールを奪えず。34分にFWアンドリー・ヤルモレンコによる痛恨のオウンゴールで失点を許したチームは後半も攻勢を続けたものの、最後まで相手ネットを揺らすことはできないまま0-1で敗れた。

W杯出場にあと一歩届かなかったウクライナだが、試合後の記者会見に出席したペトラコフ監督は苦境に陥る母国への団結を示してくれたウェールズに感謝を示しつつ、選手たちを責めるつもりはまったくないと強調した。

「ウェールズに感謝の意を表したい。彼らがW杯で可能な限りの幸運を手にすることを祈っている。ウクライナはウェールズに対して、とても感謝している」

「我々はできる限りのことをしたが、得点できなかったのが残念だった。ただ、これがスポーツだと思う。一方のチームは運が良く、もう一方のチームは必要な運を手にできなかった」

「私はチームのどの選手に対しても、批判するつもりなどない。どの選手に対しても、何も触れる必要はないだろう。批判したければ、私を批判して欲しい。チームが負ければ、責めを負うのは監督だけだ」

また、ペトラコフ監督は2月から続くロシアのウクライナ侵攻についても言及。苦しい情勢を明かしつつ、世界の支援が必要だと訴えた。

「ウクライナで何が起こっているかは、ご存知の通りだろう。国中で戦争が起きている状態だ。子供や女性が毎日のように死に、インフラはロシアの蛮族によって破壊されている。ロシア人は我々を傷つけようとしており、ウクライナ人は自分たちの土地を守っている」

「我々はただ、皆の支援を欲している。そして、私の国で起きていることを理解して欲しいのだ」