11月21日に開幕を迎える2022FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)。未だ大陸間プレーオフ(6月14日オーストラリア対ペルー、15日コスタリカ対ニュージーランド)を残すも、6月6日には欧州予選プレーオフの全日程が終了し、欧州からの出場国が出揃った。

ご存知の通りサッカーレベルの高い欧州は、南米と同様に毎回W杯出場を巡っての激戦区となっている。過去のW杯を振り返っても、本大会で活躍を期待された強国やスター選手が出場できなかったケースは大変多い。今カタールW杯予選も例にもれず、名だたる選手たちが突破を果たせず涙を飲んだ。

ここではカタールW杯で見られないことが惜しまれる欧州の選手たちを、ベストイレブン形式でご紹介していく。


カタールW杯に出場できない欧州選手ベスト11
スロベニア代表 GKヤン・オブラク 写真:Getty Images

GK:ヤン・オブラク(スロベニア)

2014/15シーズンより、長きに渡ってスペインの名門アトレティコ・マドリードで活躍を続けるGKヤン・オブラク。クラブではもちろん、スロベニア代表でも守備の要としてチームを牽引してきたが、残念ながらカタールW杯予選突破は叶わなかった。

スロベニアは今欧州予選の開幕節で、ロシアW杯(2018)準優勝国クロアチアを1-0と下し(2021年3月24日)最高のスタートを切っていた。それだけに2010年(南アフリカW杯)以来の本大会出場に届かなかったこと、そして世界最高GKの一人であるオブラクがW杯の舞台で見られないことは残念でならない。


DF:レオナルド・ボヌッチ(イタリア)

今カタールW杯欧州予選における最大のニュースと言っても過言ではないのが、2大会連続となるイタリアの敗退だ。その中でも、特に本大会で見たかった選手を挙げるとすれば、不動のセンターバックであるレオナルド・ボヌッチ(ユベントス所属)だろう。

伝統的に強固な守備を誇るイタリア代表にあってなお、ボヌッチの能力と評価が高いことは実績から見ても疑う余地がない。年齢的にも35歳と最後のチャンスであった可能性も高いだけに、国としても個人としても悔やまれる結果となった。


カタールW杯に出場できない欧州選手ベスト11
スコットランド代表 DFアンドリュー・ロバートソン 写真:Getty Images

DF:アンドリュー・ロバートソン(スコットランド)

プレミアリーグの名門リバプールの主力として活躍を続けるアンドリュー・ロバートソンも、カタールでは見られない。スコットランドは今予選、フランスW杯(1998)以来24年ぶりの本大会出場をかけて戦った。プレーオフまで駒を進めるもウクライナに敗れ、久々の出場は叶わなかった。

所属先のリバプールでは数々のタイトル獲得に貢献してきたロバートソン。28歳とベテランと呼ばれる年齢に入りつつあるが、代表選手としてW杯という最高峰の舞台に立てるチャンスは今後にまだ残されているだろうか。


DF:ミラン・シュクリニアル(スロバキア)

セリエAの中でも高い評価を得ているミラン・シュクリニアル。2020/21シーズンには、3バックの一角として所属先インテル実に11年ぶりとなるスクデット(リーグ優勝)獲得に貢献した立役者の一人だ。

今カタールW杯予選でもスロバキア代表の主力として出場するも、10試合中5試合が引き分けと勝ちきれない試合が続いた。結果的に、同グループをストレートインで突破したクロアチア相手にも1試合引き分けていたことから敗退が決まり、取り切れなかった勝ち点が惜しい結果となってしまった。


カタールW杯に出場できない欧州選手ベスト11
イタリア代表 MFマルコ・ベッラッティ 写真:Getty Images

MF:マルコ・ベッラッティ(イタリア)

2012/13シーズンから長くフランスのパリ・サンジェルマン(PSG)で主軸を務めるマルコ・ベッラッティ。イタリア代表としてのキャリアも50試合近くに上り、強豪国の中盤を支える選手の一人だ。長短のパスによるチャンスメイクやボール奪取能力の高さには定評があり、代表でも大きな武器の1つであった。

しかし欧州予選終盤の大事な2試合。スイス戦(2021年11月12日)と北アイルランド戦(2021年11月15日)においてベッラッティは不在となり、その影響もあってかイタリアは勝ちきれずに終了。結果的に残念な形で自身の存在の大きさを証明することとなってしまった。


MF:エミル・フォルスべリ(スウェーデン)

前回ロシアW杯(2018)において決勝トーナメント1回戦で得点を決めるなどし、スウェーデンの24年ぶりとなるベスト8進出に大きく貢献したエミル・フォルスベリ。

代表に復帰していた同国の英雄ズラタン・イブラヒモビッチと共に、カタールでの活躍も大いに期待された。しかし、今予選はプレーオフでポーランドに敗れ、スウェーデンの2大会連続の本大会出場は叶わなかった。

カタールW杯に出場できない欧州選手ベスト11
ノルウェー代表 MFマルティン・ウーデゴール 写真:Getty Images

MF:マルティン・ウーデゴール(ノルウェー)

まだ23歳と若いながら代表キャリアは30試合出場を超え、所属先のアーセナルでも主力として活躍するマルティン・ウーデゴール。15歳という若さで代表デビューを果たして以降、22歳でキャプテンを務めるなど、もはやノルウェーにはなくてはならない選手の一人だ。

しかし、ノルウェーはフランス大会(1998)以降W杯出場がなく、欧州の高い壁に阻まれている。次の2026年大会以降は出場国枠増加の恩恵もあることから、若手の台頭が目覚ましいノルウェーが、そしてウーデゴールが台風の目になることに期待したい。


MF:マルセル・ザビッツァー(オーストリア)

2021年より、ブンデスリーガ(ドイツ)のバイエルン・ミュンヘンで活躍するマルセル・ザビッツァー。視野の広さと高いパスの精度を持ち、加えて強力かつ正確なシュートを持つなど、相手からすればかなり危険な選手として高い評価を受けている。

オーストリアは今欧州予選、フランスW杯(1998)以来となる本大会出場を目指したが、残念ながらプレーオフで敗退。次回の2026年大会には、ザビッツァーはもちろん同じく代表の軸であるダヴィド・アラバも30歳を超える。チームを牽引する選手として、ますます期待値が高まるのは間違いないだろう。


カタールW杯に出場できない欧州選手ベスト11
ウクライナ代表 MFオレクサンドル・ジンチェンコ 写真:Getty Images

MF:オレクサンドル・ジンチェンコ(ウクライナ)

所属先であるマンチェスター・シティではサイドバックも務めるなど、ユーティリティ性の高さも売りなオレクサンドル・ジンチェンコ。今欧州予選の最終戦にもなった、プレーオフのウェールズ戦(6月6日)では、幻となったフリーキックのゴールシーンなどチャンスを演出していた。

現在一部では移籍の噂も出ており、決してスタメンを約束されているわけではない現状を考えれば、さらなる飛躍もありうるだろう。カタールW杯でその活躍が見られないのは残念だが、今後の去就には見どころが多い。


FW:エディン・ジェコ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

36歳になってなお、代表でも最前線でチームを引っ張るエディン・ジェコ(インテル所属)。ボスニア人プレイヤーとして初の国際試合50ゴールを達成するなど、ボスニアサッカー界での功績もあり、名実ともに母国代表の支えでもある。

いつ代表引退を宣言しても不思議のない年齢ではあるが、今なおセリエAの強豪クラブに所属していることからもその評価に疑いの余地はない。今後の代表活動からも目が離せない。


カタールW杯に出場できない欧州選手ベスト11
スウェーデン代表 FWズラタン・イブラヒモビッチ 写真:Getty Images

FW:ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン)

2016年のUEFA欧州選手権(ユーロ2016)の大会中、一度は代表引退を宣言しながらも、2021年に代表復帰を果たしていたズラタン・イブラヒモビッチ。40歳を迎えた今でも、ミランというビッグクラブで活躍を続けている。また、スウェーデン代表では最多得点の記録保持者であることからも、精神的支柱としてカタールW杯での活躍が期待された。

しかし、スウェーデンは今欧州予選プレーオフの決勝まで駒を進めるも、ポーランドに敗れて敗退が決定。年齢的にも次のチャンスがあるかわからないイブラヒモビッチにとって、辛い敗退劇となってしまった。