レアル・ソシエダ所属の日本代表MF久保建英(21)は、かつてバルセロナの下部組織でプレーしていた。そんな久保建英の抱えている過去の苦い思い出について、元バルセロナ下部組織コーチのオスカル・エルナンデス氏(46)が語った。18日、スペインメディア『Noticias de Gipuzkoa』が伝えている。

 久保建英は2008年、8歳でFCバルセロナキャンプワールドツアーに参加してMVPを獲得。2011年8月にバルセロナ下部組織の入団テストに合格すると、スペイン国内で一流選手としのぎを削っていた。

 しかしバルセロナが18歳未満の外国籍選手登録禁止処分を受けると、久保建英も対象選手に。結局、同選手は2015年3月に帰国し、FC東京の下部組織に入団している。

 当時、バルセロナ下部組織でコーチを務めていたオスカル・エルナンデス氏は、母国メディアのインタビューで「毎日トレーニングに連れて行き、終わると家に連れて帰った。久保建英のために責任を持ったのさ」とコメント。

 久保建英を世話していたことを明かすと「彼はあらゆる面で責任感が強く、とても日本人らしい。しかし、ピッチ上では自国のサッカーとは違って自信に満ちた行動をとっていた」

 「勉強はもちろん日々の生活や教育にも責任感があったが、ピッチでは一変して反骨精神が旺盛になり、創造性を発揮するようになった。彼はとても競争心が強く、その技術力とともに当時は爆弾のような存在だった」と同選手の性格やピッチでのパフォーマンスを回顧している。

 ただ久保建英がバルセロナ退団を余儀なくされたことについて聞かれると「FIFAの制裁で退団することになり、日本に帰らなければならないことがトラウマになった」

 「『他人が自分のためにどれだけのことをしたのか』ということを、彼は少し忘れてしまっていると思う。本人はそれを自覚して、(バルセロナ時代のことを)話したくないと思っているのではないかと想像している」と推測。『Noticias de Gipuzkoa』も「クボはバルセロナでの出来事を話したがらない」と言及している。

 オスカル・エルナンデス氏は2007年から約10年間にわたり、FCバルセロナアカデミーコーディネーター兼ヘッドコーチ、バルセロナ下部組織のコーチやスカウトを担当。久保建英の才能をいち早く見抜いた人物として知られているほか、2020年にはアルベル・プッチ・オルトネダ監督とともにアルビレックス新潟のトップチームに携わっていた。