三笘はまだ55分しかピッチに立てていない
11月から始まるワールドカップ・カタール大会。この9月はその本戦に向けた代表戦が各地で行われることになり、当落線上にいる選手はポジション確保に必死だろう。
米『ESPN』ではそれぞれのW杯出場国に注目し、22-23シーズンで評価を上げた選手、下げてしまった選手を紹介している。日本代表で株を上げたのはレアル・ソシエダの久保建英で、反対に下げてしまったのはブライトンの三笘薫だ。
久保はレアル・マドリード移籍後ラ・リーガのクラブをローンで転々としており、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェの3クラブを経験している。スペイン初年度のマジョルカではリーグ戦で4ゴール4アシストと上々のスタートを見せるも、シーズンを重ねるごとに停滞し、昨季再びマジョルカでプレイしたが、1ゴールしか挙げられていない。
だが今夏ラ・レアルへの完全移籍を決断すると、従来のサイドではなく2トップの一角という新天地をイマノル・アルグアシル監督に与えられ、躍動。チーム内で2トップの一角はすでに久保のものであり、リーグ戦では1ゴール1アシスト、ELでも1アシストと目に見える数字を重ねている。
ベルギーのロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズで海外初挑戦を果たし、慣れない左ウイングバックながら7ゴール3アシストと素晴らしい数字を残した三笘。今夏は保有元であるプレミアリーグのブライトンに戻り、ここまで途中出場から4試合リーグ戦に出場している。ニューカッスル戦でイングランド代表のキーラン・トリッピアーを圧倒したインパクトは大きかったが、実はまだ今季プレミアでは55分しかプレイしていない。
米紙が主張するように新シーズンで両者の評価は逆転したが、日本代表ではまた話が変わってくる。久保はラ・レアルで活躍しているように攻撃が整備されたチームで輝くタイプだ。それは昨季のマジョルカと今季のラ・レアルでの大きな違いであり、久保が活躍するためには必要な環境がある。しかし今の日本代表にその環境があるかどうかは怪しいところで、実際に三笘は6月の4連戦後チームの約束事が必要だと環境の改善を求めている。
対する三笘は明確な個の力を持っており、ドリブル一つで局面を変えられる。アジア最終予選からそれは証明されており、代表には戦術三笘なんて言葉もある。プレミアでもその個はトリッピアー相手にも通用していた。
もちろん試合に出ることでコンディションは上がり、継続してピッチに立っているほうが調子はいいだろう。ただその選手が活躍するにはいくつかの条件があり、久保は日本代表でその条件を満たすことができるのだろうか。